日本的感性 触覚とずらしの構造 佐々木健一著
日本人が世界をどのようにとらえてきたか、その美的感覚を文化的背景から考察する。美学者である著者は、「感性にとって最適の表現媒体」である和歌を素材にその特性に肉薄する。
たとえば、与謝野晶子の短歌「清水へ 祇園をよぎる 桜月夜 こよひ逢う人 みなうつくしき」に、日本人特有の花の感じ方を見る。西洋人はバラやチューリップなど、一輪でもそれを鑑賞の対象とする。ところが、晶子の歌は桜の一輪ではなく、群生する桜の花が包み込む空間自体を美の対象としてとらえる。
かように日本人は、広がりの中に自らを見いだすことを好む民族なのである。この感性こそ、「日本的感性」の特徴の一つだと論じる。
中公新書 903円
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