転職先を決めず実家へ戻るのは最悪 遠くで1人暮らしの母と一緒に暮らすべきか

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関西で貴女と同じ職業の私の後輩がおりますが、その職業一本で食べていくのは、ごくごく限られた人だと聞いています。結婚式は土・日曜日に集中しますので、所属事務所がよくて指名を受けることが多い人気司会者といえど、こなせる数に限りがあると言うのです。いわんや人気司会者になれなかった場合は……。

それでアルバイトをしながら司会業を続けている人が多いのだそうです。結婚式の司会業一本で食べていけている貴女を、すばらしいと感じた理由です。

地方の現実~東京を離れれると職探しは厳しい

日本ではまだまだ新卒雇用が重視されますが、最近の国の統計によりますと新卒女性の5割が正規雇用でないそうです。そして非正規雇用の7割が女性だといいます。女子学生も大卒が当たり前、院卒も珍しくなくなった時代に、「学べば食える」時代、「能力さえあれば就職できる」時代はとうに終わった現実は、想像以上だということを示していると思います。

私は多くの結婚式に出席し、たくさんの司会者のお手並みを拝見してきましたが、司会者の人格や力量によって、ずいぶん宴の雰囲気が変わりますね。やたらとプロズレしているというか、巧み過ぎて違和感を覚えたり、自分をところどころでさり気なくアピールする人などは鼻につきました。

逆に司会がすばらしいと、次にまた指名を受けたりと、結構キャリアがモノをいったり人脈が大切なのは、この業界も同じようですね。このようなことを見聞してきましたので、恵子様がこの業界で自立されておられることが、貴女の人格も含めて精進のたまものだと理解でき、簡単に今の立ち位置を手放すべきではないと感じました。

それに私は関東と関西を(表面的にですが)よく比較できる立場にある者ですが、何かにつけてその市場の格差は、想像以上です。東京圏と大阪圏の人口比は大ざっぱで3対1だと思いますが、多くの職種で需要と活気という側面では、そんなものではなく雲泥の差を感じます。

もしどうしても関西の実家に戻りたいのでしたら、今の仕事を続けながら、関西でも貴女自身を養えるくらいの収入が得られるか市場調査をして、できたら就職先を決めてからになさってくださいね。

現在のせっかくのキャリアや収入を捨てて帰ったのはいいけれど、再就職先が決まらないというのでは、お母様も決して嬉しくないはずです。というよりは最悪です。能力があるのにちょっとした休職があだになって、多くの人の場合なかなか条件のいい仕事につけない仕組みになっているのが、悲しいことですが今の日本の現実だからです。

貴女が今後、運命の人と出会えるかどうかは神のみぞ知るところです。私が今申し上げられることは、相手が決まっていない結婚に関して、このままだと結婚生活も東京になると案じたり、今のキャリアと収入を捨てて関西へ動くのは意味がないということです。信じる道・あるいは生活の糧を得ながら歩んでいく道で出会う人が、運命の人だと思うのです。その人が関西に生活の基盤を置く人という可能性も無きにしも非ずなわけで。

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