中国では、なぜ環境問題の解決が難しいのか

APECが終われば、元の木阿弥?

当時は新しいレアアース産業には期待こそあれ、環境汚染の元凶の一つだと考える人は少なかった。酸やアルカリを大量処理に使うものの、中和して廃棄すれば問題はないという程度の認識だった。

ところが、レアアースには放射性物質も含まれているし、技術革新が進めば毒性の高い有機物の排出もあるために、公害問題が後から深刻な問題になったのだ。当時の中国は「貧困との戦い」が「環境との戦い」に優先する時代であった。その彼は現在、環境関連の会社のトップも務めている。

30年前ならいざ知らず、いまや中国は世界ナンバーワンの人口を誇り、豊かな資源も有する。技術力も軍事力も有しており、今後は科学技術が環境問題の決め手になるはずだ。だが、中国は大国意識は強いが、毎年大気汚染や環境被害で多くの人々が死亡し、億単位の人が呼吸困難に陥っているともいわれている。

一方、日本は資源貧国だが人材は豊富であり、技術立国であるから環境大国ともいえる。

人口比でみると中国は一人あたりの資源量は圧倒的に不足しており、経済発展を担保するためにはこれからも、ある意味で環境よりも資源開発を優先せざるを得ない。こう考えると中国の環境問題は、将来も解決に向かうのは容易ではない。資源と環境は今や裏腹の係である。エネルギー、食糧や水の資源は、人口が多い分だけ負荷がかかる。環境に関わる科学技術は、資源よりも重要になってきたといってもよい。

レアアースの昔の話を一例に挙げたが、中国の環境問題は大気汚染だけではない。工業水や化学肥料、農薬の河川、湖、海への流入によって、深刻な汚染が確認されている。また、重金属の土壌汚染による奇病の多発、さらには砂漠化による黄砂の被害、水質汚濁による健康被害、水・森林資源の枯渇、酸性雨、食品汚染などと並べ上げるとまさに中国は環境問題のデパートだ。

当局が必死になって、環境問題の解決に奔走しているのは理解できる。ただ、あえて隣人の苦言として許していただきたいのだが、問題の根本の一つは、中国人の習慣にもあると考える。

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