37万人の購入者調査で見えた「中古車市場」の今 新車市場と異なる年代/年収/用途が浮き彫りに

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新車購入時には「残クレ=残価設定型クレジット」という、月々の支払い額を抑えられるクレジットの形態がある一方で、中古車の場合は購入店舗によってはそういった支払い方法に対応していないこともある。そのためか、現金一括の割合が約7割と高かった。

中古車では購入者にしめる20~30代の割合が多く、手持ちの現金で支払える範囲の車両を選択しているのだろう。

購入車両は、どのように使われているのだろうか。「主運転者」のデータから確認してみると、中古車のほうが「自分だけが運転する」の割合が高くなっている。

ファミリーユースというよりは、個人で使用するパーソナルユースを目的に購入している人が多いようだ。結婚前の若年層が多いことに加え、セカンドカーとして中古車を購入する人も少なくないだろう。

では、どのような用途に使っているのだろうか。「購入時の想定利用用途」を見てみると、中古車では「通勤・通学」「仕事」のスコアが高く、「ドライブ」「旅行」「レジャー」といったものは低い。主に、日常の足として使われていることが読み取れる。

新車NO.1は「N-BOX」だが中古車は?

最後に、中古車で売れ筋の車種を確認してみよう。直近3年間を半年ごとに集計したところ、次のような結果がえられた。

2019年1~6月契約者を除き、TOP3は軽自動車が独占している。ランキングの顔ぶれはあまり変わらず、スズキ「ワゴンR」、ダイハツ「タント」、ホンダ「N-BOX」、ダイハツ「ムーヴ」、トヨタ「アクア」がほぼトップ5に入ってきており、以降ホンダ「フィット」、トヨタ「プリウス」、日産「セレナ」、日産「ノート」、トヨタ「ヴォクシー」といった登録車が続く。

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先程、中古車の購入価格の推移の結果を示したとおり、購入価格は毎年上昇している。一方で車種ランキングに大きな変動はない。これには(1)需給のバランス、(2)高年式の車両の割合の変化、(3)安全装備の充実などにより新車の車両価格が上昇し、それに応じて中古車価格も上昇したなど多くの理由が考えられる。

こうして、さまざまな観点から中古車市場の概況を見てみると、中古車に求められるものや新車市場との違いが浮き彫りになってくる。詳細に踏み込めばまだまだ分析の余地はあるが、今回は1回目ということで全体を示してみた。本テーマについては、また別の機会に掘り下げていこうと思う。

三浦 太郎 インテージ シニア・リサーチャー

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みうら たろう / Taro Miura

北海道大学大学院理学院卒業後、インテージ入社。自動車業界におけるマーケティング課題の解決を専門とし、国内最大規模の自動車に関するパネル調査「Car-kit®」の企画~運用全般に従事。

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