(第36回)相対価格の変化がアメリカを豊かにした

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他国との比較でも豊かになった米国

ここで重要なのは、この期間にアメリカの賃金が上昇したことだ。前回見たように、賃金はサービス価格とほぼ同じ率で上昇した。したがって、サービス価格が上昇しても、アメリカの労働者がサービス消費に関してとりわけ貧しくなったわけではない。その半面で、財に関しては、アメリカ人はかなり豊かになったことになる。

賃金が上昇したのは、高い賃金を提供できる高付加価値サービス業の経済全体に占めるウエイトが高いからだ。そのため、全体の賃金を押し上げるのである。もちろん、産業や職種によって要求される能力や技能には差があるから、産業間・職種間の賃金が均一化するわけではない。しかし、高賃金部門の賃金が上昇すれば、そしてその分野のウエイトが高ければ、労働市場における需給調整を通じて、他分野の賃金も上昇するのである。

仮にアメリカの産業構造が日本と同じように製造業の比率が高く、高付加価値サービス業の比率が低いものであったとすれば、賃金が上昇することはなかったろう。その結果、アメリカも日本と同じような経済停滞に直面していたはずである。

以上で見たのは、アメリカ国内の生産である。これと同じことを、貿易データについて見てみよう(下表を参照)。


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