バーゼル�下で銀行は多額の自己資本が必要に。格付上はポジティブ《ムーディーズの業界分析》


 多くの移行措置(政府公的資金、控除項目等のグランドファザリング[既存の取扱いを一定期間認める措置]等)は、銀行の今回の厳格な規制環境への適応を後押しすることになるであろう。財務力の高い銀行は新規制の順守が可能であることを積極的に示し、それが他の銀行にとって圧力となるだろう。

銀行が新たに規制されるのは15年以降となるため、流動性カバレッジ比率(LCR)の導入時期もネガティブな驚きとなった。バーゼル委員会は7月26日付プレスリリースで、安定調達比率(NSFR)の導入を18年としているが、バーゼル委員会は試行期間を設け、その間にこの2つの比率が銀行および市場に与える影響を検討する。バーゼル委員会は流動性規制に関して定量的指針を与えてこなかったが、試行期間の結果を受けて、この領域については各国の裁量に委ねる可能性がある。

 厳格な規制環境を導入するに当たって銀行業界に十分な時間を与えるのは、その混乱の度合いを極小化したいという意向の明確な表れであろう。とはいえ、規制当局や市場が、19年より前に新たな規制を順守するよう銀行に圧力をかけることは十分予想されうる。

一方、新規制の基準を上回っている銀行には、市場が株主への還元を要求することも考えられる。このことは、銀行、特にストレスシナリオ(ストレスのかかった状況を仮想したシナリオ)において大幅な追加的損失が発生する可能性のある銀行にとっては、潜在的にネガティブに作用する可能性がある。

もう1つの大きな関心事は、新興国が導入するアクションプランである。

 全般に、新たな枠組みは銀行の債権者にとってはポジティブである。しかし、レバレッジおよび流動性比率についての確実性が欠如していることは、引き続き懸念される。これらの提案が最終的にトーンダウン、あるいは削除されれば、新たな枠組みによる恩恵も影響を受ける(超過レバレッジ、競争条件等)。

また、特に国際的な合意事項であるため、銀行の自己資本比率の「分子」が明確化されることは望ましい展開だが、「分母」の定義および算定方法に依然として多くの不確実性が残る。さらに、資本バッファが拡充されても、最近の市場の混乱を招いた、大きなリスク管理上の失敗、あるいはリスク計測・評価の欠陥に対する十分な対応とはならない可能性がある。

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