バーゼル�下で銀行は多額の自己資本が必要に。格付上はポジティブ《ムーディーズの業界分析》
加えて、銀行は普通株式による2.5%の資本保全バッファの積み立てを求められる。これは、厳しい状況の下でのクッションとなるものである。その水準は変動するが、バーゼル�の第1の柱と同様の形になるとみられる。したがって、ストレス時には資本保全バッファの低下が許容されるものの、完全実施時には、銀行は最低7%の中核的(普通株等)Tier 1資本(4.5%+2.5%)、Tier 1資本比率8.5%、総資本比率10.5%の保有を実質的に求められる。さらに、銀行は各国の状況に応じて設定される0~2.5%のカウンターシクリカル(景気連動抑制的)な資本バッファの積み立てを求められる。
しかし、この枠組みの完全実施までに10年以上を要することになるとは予想されていなかった。現在の日程は、バーゼル委員会が短期間内での導入を決定した場合に多くの銀行が直面する課題(十分な利益または資本増強の能力等)に対応したものとみられる。バーゼル委員会は今年行った定量的影響度調査に基づき、「全体として、大規模銀行は多額の自己資本が必要となるだろう」としている。
多くの大規模銀行は、利益の留保または資本増強によって、厳格な規制を見越した対応を進めているが、すでに厳格な規制を導入しているところ(スイス等)もある。多くの公的セクターの銀行を含む第3のグループは、資本市場での調達が容易でなく、利益見通しも良好とはいえないため、より大きな課題に直面するだろう。