ヨーカ堂が小型スーパーに参入 垂涎の都心部出店も課題は山積
「本京・JR阿佐ヶ谷駅前ビルの地下に10月1日開業した「イトーヨーカドー食品館」。売り場面積は270坪で、標準的な食品売り場の4分の1ほど。イトーヨーカ堂が手掛ける小型スーパーの第1号店だ。生鮮食品を中心とした商品に絞り込んだほか、有名店の弁当など通常店より高級商材をそろえたのが特徴。今後1年間で150~300坪の同様の店舗を23区内中心10店程度出店する。
ライバルのイオンも、同規模店を昨年3月から世田谷区などで3店展開するなど、大手は都心部での小型店開発を強化中。「人口の都心回帰と昼間人口の多さからチャンスがある」(亀井淳・イトーヨーカ堂社長)とみる。中でもヨーカ堂は将来的に100店、売上高1800億円規模の高い目標を掲げる。小型で投資コストが少ないため、採算も高くなると期待は大きい。
懸念材料もある。ヨーカ堂は「2階層構造も含め物件は多い」(戸井和久・販売本部長)と言うが、「23区内は(流動性が少なく)100坪の物件さえ出ない」(首都圏スーパー)。運営面もネック。小型店は商品を厳選せざるをえないが、「消費者の嗜好が商圏ごとに異なり共通の店舗モデルを作るのが難しい」(イオン)。新業態を多店舗展開し、低迷する流通業界の救世主へと育てられるか。ヨーカ堂の底力が試される。
■セブン&アイ・ホールディングスの業績予想、会社概要はこちら
(鈴木良英 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2010年10月16日号)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら