資金殺到のエボラ関連銘柄、その実態 2週間で株価4倍、その賞味期限は?

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もっとも、短期で値幅取りを狙うデイトレーダーにとってみれば、値動きが激しく、ある程度の売買代金のボリュームがある銘柄は、格好の投資対象となる。

アゼアスの場合、10月17日に1890円の今年最高値をつけた後、22日にはそこから半値以下となる893円まで一時急落した。だが、28日に1500円まで切り返すなど、乱高下している。

これまでのところ、エボラ関連銘柄は全体相場が下落する日に上昇し、全体相場が上昇する日は利益確定売りに押されるという、逆相関の動きをする傾向がある。全体相場が落ち着きを取り戻すまで、関連銘柄は資金の逃避先となる可能性がある。

既述のエボラ関連株は中小型株に位置づけられるが、大型株で関連として挙げられるのが、富士フイルムホールディングスだ。値動きこそ派手ではないが、株価は堅調な上昇トレンドにある。

未承認だが特例で使用を許容

傘下の富山化学工業が開発し、今年3月に国内で承認されたインフルエンザ治療薬「アビガン(一般名ファビピラビル)」が、エボラ出血熱の治療にも有効ではないかと期待されている。

エボラ出血熱治療薬としてはまだ未承認だが、10月24日には厚生労働省の専門家会議で、日本で感染者が出た場合、例外的に使用を許容する方針が決定された。

27日には、リベリア帰りの男性が空港で発熱症状を訴え、エボラウイルスの感染が疑われた。検査の結果は陰性だったが、あらためて国内で発症者が出る可能性が意識され、翌28日のエボラ関連株に投資資金が殺到。同日、富士フイルムの売買代金は約540億円と全体3位で、5位のトヨタ自動車を上回った。

今のところ、アビガン錠の動向が富士フイルムの業績に与える影響は軽微。投資には事務機器や液晶フィルムなどの主力事業の状況を踏まえての判断が必要だ。

(「週刊東洋経済」2014年11月8日号<11月4日発売>掲載の「核心レポート03」を転載)
 

島 大輔 『会社四季報プロ500』編集長

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しま だいすけ / Daisuke Shima

慶応義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了。総合電機メーカー、生活実用系出版社に勤務後、2006年に東洋経済新報社に入社。書籍編集部、『週刊東洋経済』編集部、会社四季報オンライン編集部を経て2017年10月から『会社四季報』編集部に所属。2021年4月より『会社四季報プロ500』編集長。

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