「ジャパンアズナンバーワン」と言われたときに比べると、だいぶ地位が落ちた。
「それでも先進国の真ん中なら、十分ではないか」との意見があるかもしれない。このくらいのところで満足しても良いと考える人もいるかもしれない。
日本の地位が下がっているのが問題
確かに、現在の地位を維持できれば、現状に満足しても良いと言えるかもしれない。
しかし問題は、日本の地位が時間とともに低下していることだ。
図表2には、市場為替レートで評価した1人当たりGDPの時系列的な変化を示す。
ここでは、ユーロ圏の平均値を「先進国」を表わす水準と考え、これを1とする指数を示した。
日本を示す線は、山形になっている。
1970年代の初めに先進国になり、ピークは1990年代後半から2001年頃までの期間だった。その頃には、日本の数字はアメリカより高かった。
ところが、2000年代になってからは、日本の指数は低下し続けている。
アベノミクスが始まる直前の2010年頃に一時上昇したのだが、その後、再び下落した。このままいくと、ユーロ圏の平均を下回ることになる可能性が高い。つまり、先進国の位置から脱落しかねない。
日本を示す線は、1995年頃を軸としてほぼ左右対象形になっている。だから、未来に向かう経路が、過去に向かう経路と同じものになっている。
実際、2020年において、アメリカの値は、日米の1.7倍だ。これは、1971年頃と同じ値だ。
歴史は、すでに1970年代初めまで逆行したのだ。
これからさらに逆行が続くかもしれないと思うと、居たたまれない気持ちになる。
他方で、韓国と台湾が、高い成長率で日本に追いついてきている。
中国の値は、2000年まではほとんど問題にならないほど低かったが、いまや日本の約4分の1だ。今後さらに差は縮まるだろう。
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