東洋経済オンラインでは毎年この時期、有価証券報告書の情報を基にして、上場企業で働く非正社員の実態を調査している。全従業員に占める割合が1割を超えると開示が求められる「臨時従業員数」を非正規社員の人数として収集している。
まず、正社員と非正社員の合計人数に占める非正社員割合から算出した「非正社員への依存度が高い企業」のランキングを紹介する。2020年10月~2021年9月期の情報を基にすると、非正社員が全体の従業員の90%以上を占める会社は6社、80%以上を占めるのは60社だった。
コロナ禍で上位企業の顔ぶれに変化
昨年に続き1位となったのは100円ショップを展開するセリア。テレビアニメのキャラクターとのコラボ商品が人気で、未出店の地域にも店舗を増やして業績を伸ばし続けている。店舗増加に伴い非正社員も増やしてきており、従業員(正社員)は500人以下にとどまる一方で、非正社員1万1188人が働き店舗の運営を支えている。
2位に大幅にランクアップしたのは出前館だ。新型コロナの影響でデリバリー需要が高まる中、急速に配達人員を増加させた。ランキングに併載している5年前比で見るとほとんどがこの5年以内に増加させており、特にこの1年の増え幅が大きい。
昨年の非正社員数は2595人だったので、1年で約5000人増やしていることがわかる。先日配信した広告宣伝比率が高い会社のランキングでも4位にランクインしたように、事業の認知拡大とともに働き手を求める広告も強化している。
ベネッセの傘下で個別学習塾を展開する東京個別指導学院が3位。塾の講師にアルバイトの大学生が多いのが特徴で、非正社員の多さと直結している。都市部中心に対面授業の需要は大きいようで、教室の新規開設を進めるのに伴い増加している。
上位は、小売業や外食業からランクインしている企業が多い。業務の特性上、非正社員の依存度は高い業界だが、コロナ禍が長引く中で非正社員のウエイトを減少させる傾向は読み取れる。昨年調査と比較すると、非正社員比率が90%以上の会社が8社から6社に、80%以上の会社は72社から60社へと変化した。
一定の労働時間に達しないと非正社員の人数としてカウントされないため、労働時間の減少が影響している可能性もあるが、5年前の正社員数と比較して1000人以上減少させている会社も目立つ。この点はこれまでに見られなかった傾向といえる。
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