アメリカのハイテク株ブームの陰りに伴い、日本株に注目が集まりつつある。コロナ禍のなかでも株主を増やしている日本企業はどこか。主に2021年3月期までの2年間で株主の増加数を集計した。
対象は『大株主総覧2021年版』に掲載された全上場会社計3834社。単元株主数のほとんどは個人株主であり、単元株主数の増減は、個人株主数の増減に等しくなる。
トップのオリックスは28万人増加
個人株主数が増えた会社の1位はオリックスだ。2021年3月期は、28万人増加した。通期で1株当たり78円の配当。2022年3月期も据え置きで、前期より多い500億円の自己株式取得を発表するなど、株主還元に積極的だ。株主優待では、カタログギフトで全国の名産品から選べる点も魅力。株主の増加傾向が続いている。
2位は日本航空で22万人増加している。コロナ禍に伴う需要の消失が著しく、2020年3月期は大幅な損失を計上した。有利子負債削減のため、同年11月に公募増資を行って1829億円の資本増強を行っている。株式数の増加に伴い、株主数も増えている。コロナ後の航空需要回復への期待が買いへと促した。株主優待の株主割引券も人気が高い。
3位は高配当銘柄の代表格であるJT。21万人増加した。2020年12月期の配当は154円で、利回りは6%を超えている。2021年12月期は年間配当が140円で前期より下回るが、それでも約6%と高い利回りが続いている。値動きもそれほど激しくないことも人気の要因のひとつだ。
4位はANAホールディングス。2位の日本航空と同様に公募増資を実施して17万人増えている。
5位は三菱UFJフィナンシャルグループで、16万人増加した。最低購入代金が10万円以下と買いやすい。高めの利回りで右肩上がりの配当が受けている。2022年3月期も、通期純利益を上方修正したほか、配当も従前27円から28円へと上方修正している。今後も、2023年度までに配当性向を40%へと累進的に引き上げる目標としており、業績の続伸を背景に増配が続きそうだ。
さらに見ると、10位のアンジェスの急上昇が目につく。株主は6.9万人増えている。1999年に大阪大医学部森下竜一教授が創業した創薬ベンチャーで、新型コロナウイルスDNAワクチンの開発を進めていることで注目を集めた。2020年に連日高値を更新するなどして、伸びたことが影響した。
こうして見ると、コロナ禍でも株主数が増えた会社は、高配当で人気を集める会社が多い。中長期的な視点で割安となっている有望な日本株を探してみてはいかがだろうか。
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