広告宣伝費にどれだけお金をかけるのが適切なのか。これは企業の状況によっても変わってくる。すでに高い知名度を誇る企業であれば、業績の厳しい局面はブランドイメージを維持する程度の広告費を支出すればいいだろう。
一方、新しい商品やサービスを一気に普及させたい局面では、一時的に広告宣伝費を積み増すのが最適な場合もある。6日に配信した「『広告宣伝費』が多いトップ300社ランキング」には、規模が大きくグローバルに広告展開する会社ほど上位にランクインしていた。
今回は、売上高に占める広告費の割合が多い会社のランキングを紹介する。新型コロナで厳しい状況の中でも、広告を積極的に投じ、成長を志向している企業を確認できる。
広告積極化で急成長を狙う
売上高が数十億円~数百億の企業の中には、売上高の半分以上を広告に費やすところもある。上位にはインターネットビジネスや通販を主力とする企業が多い。この状況を好機とみて、広告を積極化させ急成長を狙っているようだ。
1位の東京通信は「Save them all」などスマホ向けゲームアプリを多数開発する会社で、2020年12月に上場を果たした。直近の2020年12月期では、売上高の53%超にあたる13億円あまりを広告宣伝費に費やしている。
2位は育毛剤「ニューモ」がヒット中で、サプリや化粧品通販を手がけるファーマフーズが入った。2021年7月期では53%超にあたる248億円の広告費をかけている。この効果も大きく2020年7月期から2021年7月期の間に、売り上げを153億円から467億円に3倍以上へと順調に規模を拡大させている。
4位には出前の仲介サイトを運営する出前館がランクイン。新型コロナの巣ごもり需要も追い風となり、利用者増加と配達員勧誘を目的としたCMを積極的に展開している。利益は赤字が続いているものの、高い成長を維持するために広告宣伝を積極化させている。
このランキングは、有価証券報告書の損益計算書および販売管理費の注記に記載される数値から収集している。販管費の内訳は販管費全体の10%以上を占める項目しか開示義務がない。企業規模が大きく、多額の広告宣伝費を費やしていても、財務諸表上には金額を公表していない場合がある。また、広告宣伝費と販売促進費が分けられない場合は、合計値を採用している。
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