コミュ力に必要なのは「相手に期待しすぎない事」 人と向き合ううえで「間の取り方」はとても大切
だから、世の中そんなものだと最初から期待しません。ある意味のあきらめがあるのだと思います。そういう諦念が底にあるから、相手に対しても期待しすぎません。期待を外されても、「まぁ、そんなものだ」とか、「よくあることだ」と引いて見ることができるのです。
「余裕」があれば、相手を追い詰めません。だから人が気安く寄ってくるのです。相手に期待しすぎる人は、どうしても重くなってしまいます。そういう人は敬遠されます。恋愛と一緒ですね。好奇心は大いに持つべきですが、過剰な期待をせず、相手との距離感を適度に持つこと。「間の取り方」といってもいいかもしれませんが、人と向き合う上でとても大切なことだと思います。
ミサワホーム創業社長が「疲れたふり」をする訳
ちょっと昔の話になりますが、ミサワホームの創業社長である三澤千代治さんの話をします。私は過去、何度かお目にかかって話をさせてもらっています。ところが会うたびに、三澤さんは疲れてグターッとしているのです。
ある日、思い切って尋ねてみました。「どうして社長はいつも疲れているのですか?」と。そうしたら意外な答えが返ってきました。「疲れているぐらいのほうがいいんですよ」。
どういうことかと思うでしょう? 聞けば、社長である自分があまりに元気でギラギラしていると、周囲が怖気づいてしまうというんですね。そこまでいかずとも、警戒心を持たれてしまう、と。「グターッとしていてごらん、安心してみんな本音で話してくれますから」。
さすがだと思いました。1代で会社を創業し、繫栄させた三澤さんならではの、人心掌握術であり操縦術です。
ほとんどの人は自分をよく見せたいとか、大きく見せようとします。でも、その結果相手も鎧を着てしまいます。本音、本心が見えなくなるんですね。あえて自分をダメに見せる。隙を見せることで相手の武装を解除させてしまうわけです。コミュニケーションの高等戦術です。
よく書店で、「賢く見せるための話し方」みたいな本があります。しかし、むしろコミュニケーションを上手にとりたいなら、能ある鷹ほど爪を隠すべきです。隙を見せ、ボケる術を身につけるべきでしょう。
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