中国と合理的に距離を縮める方法

資源開発は、ここからが「チャンス」だ

一方で、世界の鉱山開発を進めればレアアースやレアメタルはいくらでも生産できるという思い込みも改める必要がある。開発から生産までは、年数がかかるという前提が無視されがちだ。鉱山開発は、資源探査から始めると実際の生産までには20年ぐらいは必要だ。その間に市場が陳腐化するリスクもあるから、鉱山開発はそうは簡単なものではないのだ。レアメタルはメジャーメタルと比較すると市場規模が小さいので、開発経費をかけるにはリスクが高いのである。

また、レアメタルは金さえ出せば資源国家から供給されるという誤解が、いまだに産業界には根強い。だが、最終的には自国の支配下で資源調達をしない限り入手できない構造になっている。これは長期的にみると、当たり前のことだ。ところが短期的には需給が緩むと買い手市場になるので、「のど元過ぎれば熱さを忘れる」のである。だから、今の時期こそチャンスなのだ。

情報管理をもっと徹底せよ

さらにもうひとつ大切なことがある。情報管理だ。今の日本のように、秘密情報でも何から何までオープンに開示するのは、資源政策の常識から言っても考えられないことだ。例えば、少ない在庫をいかに多く見せるかは、交渉の重要なポイントである。

レアアースの価格が高騰したときも、日本政府の訪中団がレアアースの出荷要請などしなければ、中国はレアアースを売りたいのだから輸出禁止などはしないはずだ。ましてや、尖閣諸島の話とレアアースは本質的には無関係だから、外交カードなどにはなりえないはずだ。

今の中国はレアアースを買ってほしいと悲痛な叫びをあげている。これも、日本が官民挙げて代替材料開発やリサイクルを代表とする3R運動や海外資源への投資やインド政府とのレアアース資源の安定供給の協議をやったお蔭で、中国には頭を下げる必要はなくなったからだ。外交交渉もビジネスの駆け引きもそう大差はないはずだ。

中国から見れば、本来は、お客様が買ってくれて「なんぼ」の話なのである。だから、中国の輸出量の半分以上を買ってあげている相手に対して、頭を下げる必要はないのだ。

今回のWTO提訴のように、日本はもっと国際機関を味方につけて戦うべきだ。昔のことになるが、外務省の要請で、ブリュッセルの国際会議で、レアアース市場においての日本の優位性と中国の資源ナショナリズムの問題点について講演したことがある。このときは、欧米の聴衆からは拍手喝采であった。

日本の外交は余りに言葉少なで何も発言しないから、時に、逆に「何か裏があるのか?」と誤解されるほどである。小学校の子供の世界ではないが、大きな声を出す「ガキ大将」は得をして「気の弱い苛められっ子」が損をするような世界だ。堂々と言いたいことを言って「有言実行」をすれば、日本の国際的地位はもっと上がるはずだ。

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