中国と合理的に距離を縮める方法

資源開発は、ここからが「チャンス」だ

現在は、資源インフレに一服感がある。だが、世界の資源インフレは、忘れたころにやってくる、「天災」のようなものだ。わが国は中長期的なグランドデザインをベースに戦略的な資源政策を実行すべきだ。レアメタルやレアアースの対応策は、まず足元を固めるところから始めなければならない。

短・中・長期3段階のアプローチで

短期の政策としては、日本はレアアース資源について、今こそ中国をはじめとする資源国に対してできる協力をするべきだ。モノがない時に慌てふためいて、政府ミッションを資源国に送り込むのではなく、将来の資源問題を少しでも緩和させるために、地道な政治的交渉も必要になってくるというものだ。

次に中期的な政策としては、今から長期的な資源の制約を乗り切るために、ある程度の技術流出を覚悟して、ことにあたることだ。企業は存亡をかけて利益を追求するのは当然のことである。しかし日本の国益を考えると、空洞化スピードが遅くなるように制限するような工夫も必要である。技術流出は、いったん堤防が崩れると、なし崩し的に移転が始まり収拾がつかない状況になる可能性もあるからだ。

さらに、長期的政策としては、当然のことながら、資源の確保に動くことである。資源企業の買収(M&A)は、今ならやりやすい環境だ。資源ブームが去ってしまったように見えるので、資源関連企業は弱気になっている。「資源貧国」の日本は対症療法ではなくて、抜本策を講じるべきなのである。そのためには、資源開発に必要な人材育成も必要となる。

「都市鉱山」という造語がもてはやされた時期がある。もちろん、まったくダメというわけではないが、この言葉から、いかにもわれわれの家庭にあるIT家電や携帯電話から、レアメタルが簡単に回収できるような錯覚を持っている人が多い。

だが、少なくとも、この言葉に実態が伴うまでには、20年から30年はかかるのではないだろうか。年々増加する需要増を、過去のスクラップ供給で賄うことができると考えるのも、無理がある。回収コストと処理コストを比較すると、現時点では明らかに回収コストの方が高いので、経済合理性にはなかなか合わないのだ。

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