新庄剛志「僕ほど空気を読む人は見たことない」 空気を読んだうえで“新庄色"にもっていく

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僕はこれから監督としていろいろな形で“これまでの常識”に立ち向かいたいと思っています。そのなかには批判を浴びるようなことも、失敗することもあるでしょう。でもそんなことを恐れるなら、僕が監督をやる意味がない。

常識は、どんどん変わっている。いちばんいいバッターを二番に置く打順が最近の流行だし、先発投手は100球を目処に交代させ、あとをリリーフピッチャーでつなぐのが最近の野球のセオリーです。最近では、リリーフピッチャーを先発させ、打者が一巡するごとに変えるショートスターターという戦術も注目されました。

ファイターズがこれから目指すのは、ファンが見て、ワクワクするような野球なんです。これまでの野球セオリーになかったような作戦をしたり、新しい取り組みにチャレンジしたり、ファイターズの試合を観に行けば何かおもしろいことがあると思ってもらえるようになれば、スタジアムが満員になる日も遠くないでしょう。

もちろんやってみたらうまくいかないこと、間違えていることもたくさんあるだろうと思います。それならもとに戻せばいいだけのこと。でも新しいことにどんどんチャレンジしなければ、チームもプロ野球も変わっていかないと思います。「また新庄が馬鹿なことをやっている」と思われるのは構いません。100のチャレンジのうち、ひとつでも成功すれば、そこから何かが生まれるはずです。

過去も今も本質的なことは変わっていない

新しい取り組みをやめてしまえばチームも、組織も革新や進歩はなくなります。うまくいって、せいぜいが現状維持どまり。いまの日本の社会に停滞感、閉塞感が漂っているのは、そのせいではないでしょうか。

僕はプロ野球がかつてのような人気を取り戻すためにも、批判を恐れず、新しいことにチャレンジしていきたいと思っています。

2023年開業の北海道ボールパークFビレッジ 新球場エスコンフィールドHOKKAIDO(写真:ファイターズ スポーツ&エンターテイメント)

新しいことにどんどん取り組んでいくというのは、過去に行われてきたメソッドやシステムを全否定する、ということではありません。

そもそも僕自身が完全に昭和の人間です。しかも日本にいない時間も長かったですからアップデートされていません。ただそんなに時代の変化を気にする必要あるのかなとも思っています。

「時代が違う」とか「そんな時代じゃない」みたいな世代論を言う人も多いですが、僕からすると本質的な部分は、何も変わっていない。暴力的な指導とか、ハラスメント的な発言とか、時代に関係なくNGだと思っているし、もともとそういうことをする人は好きではありません。

ただ、挨拶をちゃんとすることとか、目上の人を敬うとかいう気持ちは、僕自身大事にしているし、選手たちにも持ってほしいなと思っています。

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