新庄剛志「僕ほど空気を読む人は見たことない」 空気を読んだうえで“新庄色"にもっていく

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今の若い世代って、空気を読むのがうまいというか、うますぎて、自分だけが目立ってはいけないと思っているような気がするんです。でも僕がド派手なことをやっているのを見て、目立つことでモチベーションが上がると気づいた選手も多いと思うんですよ。そういう選手たちが、ファッションを変え、髪型を変え、メディアやSNSで自分をアピールするようになった。すごいいい傾向だと思っています。

そして次に感じてほしいのが、目立てば目立つほど、それが自分にとってのプレッシャーになるということ。そのプレッシャーを跳ね返すだけの実力をつけなければ、ただの目立ちたがりで終わりですからね。
恐らく今シーズンは、ファイターズの選手たちは、これまでにないくらい多くのメディアに囲まれて練習や試合をすることになるでしょう。

僕はそうなることを望んで、テレビに出まくり、話題を振りまき続けました。ここからは選手の仕事です。そのたくさんの目があるなかで、それをモチベーションに変えて、どれだけの結果を残せるか。もしかしたら大化けする選手もいるかもしれない。自分が欲しいもの、望むものがあるなら、自分からどうすればそれが手に入るかを必死で考え、動いて取りにいかないと何も始まらないと思います。

赤のスーツに込めた「殻を破る」というメッセージ

今のプロ野球は昔と比べたらメディアの露出も少ないし、選手の知名度も低い。CMに出てくるようなスター選手が育っていないなと思います。

今の日本のプロ野球にスーパースターやスター選手はどのくらいいるのか。何人かの候補は思いつくけど、まだまだ「ファンの間で人気がある選手」という枠を超えられていないような気がします。

監督就任記者会見のときの高い襟のシャツとワインレッドのスーツに込めた意図は、殻を破るぞというメッセージです。いちばん最初に注目される記者会見という舞台で、今のプロ野球に対して世間が抱いているイメージをぶち破ろうと。

監督に就任してから、プロ野球界の先輩方に会う機会も増えました。ちょっと怒られるかなとも思っていたんですが、みんなが「よく帰ってきた」「期待しているよ」と言ってくれます。裏を返せば、プロ野球に関わる誰もがいまの状況に危機感を持っているということ。僕はその期待に応えたいし、それこそが僕が監督になった大きな意味だと思っています。

新庄なら何かやってくれるという期待感。これは他の人にはないものだと思います。選手時代も、トライアウトのときも、そしてこうして監督としても、「新庄なら何かおもしろいことをやってくれるんじゃないか」とたくさんの人が思ってくれている。それは、僕がいつもみんなの期待にちゃんと応えてきたからなんです。今もきっと、僕がどんなパフォーマンスをするか、どんな作戦を立ててくるか、ワクワクした気持ちで待っている人がたくさんいるんでしょうね。

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