
「全国の公立学校1897校で、2558人もの教員が不足している」という調査結果が、1月末に文部科学省から公表された。昨年の4月時点の不足数となるが、不足数が改善されず、年度始めよりも深刻な状況に陥っている現場もあるかもしれない。「今変わらなくて、いつ変わる? 学校教育最前線」をテーマに、教育研究家の妹尾昌俊氏に解説いただく本連載。今回は、教員不足の実態をどう見るべきか、現状と問題点について語ってもらった。
1月、文科省は、教員不足(教師不足)の調査結果を公表した。「先生が足りない」ということは、数年前から学校現場では頻繁に声が上がっていたが、国が調査をしたのは、今回が初めてである。マスメディアに加えて、TwitterなどSNSでもこのニュースがかなり話題に上り、さまざまなコメントが現在も飛び交っている。
わたくしごとだが、数年前に娘の通う公立小学校でも担任の先生が休職し、その代わりの先生(講師)を学校、教育委員会は必死になって探したものの見つからず、教頭が担任を代行することとなった。こうしたことが起きている学校は各地に少なからずある。
保護者目線で見ても、心配なことだと思う。今回の結果をどう見たらよいのだろうか。

妹尾昌俊(せのお・まさとし)
教育研究家、合同会社ライフ&ワーク代表
徳島県出身。野村総合研究所を経て、2016年に独立。全国各地の教育現場を訪れて講演、研修、コンサルティングなどを手がけている。学校業務改善アドバイザー(文部科学省委嘱のほか、埼玉県、横浜市、高知県等)、中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」委員、スポーツ庁、文化庁において、部活動のあり方に関するガイドラインをつくる有識者会議の委員も務めた。Yahoo!ニュースオーサー、教育新聞特任解説委員、NPOまちと学校のみらい理事。主な著書に『教師と学校の失敗学 なぜ変化に対応できないのか』(PHP新書)、『教師崩壊』(PHP新書)、『こうすれば、学校は変わる! 「忙しいのは当たり前」への挑戦』(教育開発研究所)、『学校をおもしろくする思考法 卓越した企業の失敗と成功に学ぶ』『変わる学校、変わらない学校』(ともに学事出版)など多数。5人の子育て中
(写真は本人提供)
教育研究家、合同会社ライフ&ワーク代表
徳島県出身。野村総合研究所を経て、2016年に独立。全国各地の教育現場を訪れて講演、研修、コンサルティングなどを手がけている。学校業務改善アドバイザー(文部科学省委嘱のほか、埼玉県、横浜市、高知県等)、中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」委員、スポーツ庁、文化庁において、部活動のあり方に関するガイドラインをつくる有識者会議の委員も務めた。Yahoo!ニュースオーサー、教育新聞特任解説委員、NPOまちと学校のみらい理事。主な著書に『教師と学校の失敗学 なぜ変化に対応できないのか』(PHP新書)、『教師崩壊』(PHP新書)、『こうすれば、学校は変わる! 「忙しいのは当たり前」への挑戦』(教育開発研究所)、『学校をおもしろくする思考法 卓越した企業の失敗と成功に学ぶ』『変わる学校、変わらない学校』(ともに学事出版)など多数。5人の子育て中
(写真は本人提供)
不足ゼロの自治体もあるが、安心できない
この調査によると、昨年4月時点で全国の公立小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の教師不足は合計2558人であった。

不足率は0.31%であり、そう聞くと大したことがないように思えるかもしれないが、これは分母の教員総数と比べた率だからであり、事態は楽観視できない。5月時点では多少マシになったものの、不足は合計2065人であった。学校数で見ると、およそ20校に1校で教員不足が起きている。
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