「セレンディピティ」の芽を潰す残念な上司の悪弊 「本当のことを言うと危険」な環境こそ危険だ

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そうではない。このようなチームは失敗をたくさん犯すのではなく、失敗について、またその教訓を議論することにより積極的だったのだ。

一方パフォーマンスが低いチームでは、失敗は隠蔽されることが多かった。私もこれまでかかわった数々の組織で、そうした状況を目の当たりにしてきた。

失敗したプロジェクトがひっそり葬り去られ、それと同時に関係者以外がそこから学ぶ機会も失われる。しかしうまくいかなかったプロジェクトから何を学んだかを関係者が議論することは、真の知識共有、学習、信頼感を高めるのに役立つ。

現場の話に耳を貸さないと何が起きるか

近年グーグルなどを舞台にした多くの研究で、パフォーマンスの高いチームと低いチームとの違いを生み出す主要な原因が心理的安全性の高さであることが明らかにされてきた。それは埋もれていた才能を解き放ち、セレンディピティを誘発する。

ただ心理的安全性とは、全員が居心地の良さを感じることでもなければ、常に「良い人」であれということでもない。重要なのは率直であること、そして失敗したときにその理由をきちんと説明する姿勢だ。

ベストバイの会長であるユベール・ジョリーがまさにそれを実践している。ジョリーは必要なときに助けを求める能力と意欲こそ、今日の変化の激しい世界で生き残っていくカギだと考えている。

これは、ふつうの人にとっては直感とは相いれないふるまいだろう。私たちは本能的に周囲には苦労を見せず、非難されるのは避け、他人の前では虚勢を張り、誰に対しても愛想よくふるまおうとする。

だがそれは、自己検閲につながり、最高の結果をもたらさないことが多い。エドモンドソンが挙げるのは、大手金融機関のウェルズファーゴのケースだ。

同社は2015年に、追加販売を強化し始めた。既存顧客に住宅ローンなど追加的な商品やサービスを買わせようという試みだ。

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