堀江貴文「他人に期待しすぎるな」と言い切るワケ 期待しないからこそ労われた時の喜びも大きい

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「あいつに任せるんじゃなかった……」

しかし、後悔は先に立たない。泣いても笑ってもイベントは5日後だ。

幸い、電子年賀状の仕事を一段落させていた僕は、陣頭指揮を執り、社内の総力を挙げて、なんとかこの難を乗り切った。

短い時間の中で、複数サーバ間で独自通信をするシステム(シングルサインオン的なもの)を開発した。まさに火事場のクソ力だ。迷っている時間はない。自分で仕組みを決め、システムをバリバリ作り上げた。僕もほかのスタッフたちも不眠不休。そして大晦日の生中継になんとか間に合った。

「他人に期待しすぎることをやめた」

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イベント当日、僕も会場に出向いていた。本番で何か起こったらシャレにならない。張り詰めていた僕の前に、2人の男性が歩いてきた。

「なんだか、キラキラした2人だな……」

疲れ果てた僕の目に飛び込んできたのは、ほかでもないマーク・パンサーさん。そして、あの小室哲哉さんだった。もちろん、一介の出入り業者だった僕が、小室さんと面識などあるわけない。でも、さすが人の心がわかる名プロデューサーである。

「おっ、頑張ってるね!」

小室さんは僕に声をかけてくれた。それまでの疲れがいっぺんに吹き飛んだ。

こんな経験を積むうちに、僕は他人に期待しすぎることをやめた。いくらエキサイティングな仕事でも、対価をいくら払おうと、他人に裏切られることはある。そう割り切ることにしている。もちろん社会人としては、一度引き受けたことは業務としてきちんとやってくれないと困る。でも、逃げられることもあるのだ。

期待していないからこそ、スタッフにバックレられても怒りの感情は湧かない。

そして、期待していないからこそ、人から労われたときの喜びも大きいのだ。

堀江 貴文 実業家

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ほりえ たかふみ / Takafumi Horie

1972年福岡県八女市生まれ。SNS media&consulting株式会社ファウンダー。現在は宇宙ロケット開発や、スマホアプリ「TERIYAKI」「755」「マンガ新聞」のプロデュースを手掛けるなど幅広く活動を展開。有料メールマガジン「堀江貴文のブログでは言えない話」は1万数千人の読者を持ち、2014年には会員制のコミュニケーションサロン「堀江貴文イノベーション大学校」をスタート。『ゼロ』(ダイヤモンド社)40万部超、『本音で生きる』(SBクリエイティブ)30万部超などのベストセラーがある。近著に『10年後の仕事図鑑』(落合陽一氏との共著、SBクリエイティブ)など。

Twitterアカウント:@takapon_jp
その他詳細はHORIEMON.COM

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