豊かな感性を養う「自ら選ぶ力」を身につけるコツ 「決断力は筋力」少しずつ鍛えることで力がつく
ときには目的地をつくらずに、そのときの感覚に従って進む道を決めてみましょう。私の運命のドアは、いつも予想不可能だった出来事や出会いから開かれました。たとえば20代の頃に、ある不思議な体験をしたことがあります。
それは沖縄の久高島という島を訪れたときのことです。沖縄にはすべての神の故郷である「ニライカナイ」という理想郷があり、久高島こそがその場所であると言われています。
久高島は沖縄本島の東に位置し、フェリーで行けます。私が島に降り立ったとき、ちょうど祭りが開かれていて、ノロ(琉球神道における女性の祭司)の方々や島民が広場に集まっていました。祭りは一般人も見学可能で、最後に音楽が流れたときにはカチャーシーという沖縄伝統の踊りを一緒に踊らせていただきました。
誘われるようにある小道を進んでいくと…
そんな久高島ですが、立ち入り禁止の祭場があり、海水浴ができる海もひとつしかありません。そういった立ち入り禁止の地域をよく理解したうえで散策をしていたとき、私はふと誘われるように、ある小道を見つけました。
「ここに誘われている」
そんな直感に従ってその小道を進むと、階段があり、下った先には大きな洞窟がありました。洞窟の奥には海に通じる小さな出口があり、そこから差し込んだ光が、洞窟内を美しく照らしていました。出口から海に出て、S字型に入り組んだ海岸線を辿っていくと、見たことのないような貝殻やサンゴが打ち上げられている、それは美しい海岸に行き着いたのです。
目的地を定めて歩いていたら、その小道には気づかなかったでしょう。思わぬ選択肢が現れたとき、自分の感覚を信じて歩いていくと、ときに予想もしなかった光景に出逢うことができます。
自分の住む街はすでに知り尽くしていると思っているかもしれませんが、一度、目的もなしに直感で決めた道を歩いてみましょう。完璧な夕焼けや美しい小石、素敵な人の生活、そして人との偶然の出会いや発見があるかもしれません。
そんな決断や出会いがあなたの感性を高めてくれるでしょう。せわしない現代人にとって、非日常で贅沢なことでもあります。
■「コンプレックス」を克服してみる
自分軸に基づいた決定をしようとするも、無意識のうちに選択肢を狭めてしまう要因があります。それは、コンプレックスです。
誰しも、上手にできないことや、以前にチャレンジして失敗したことなど、今もなお、小さく避けていることがあるのではないでしょうか? そういったコンプレックスによって選択肢を狭めてしまうと、自分の感性に基づいた決定はできません。
そこで、広い選択肢のなかから選び取るためにも、自分の可能性を狭めているかもしれないコンプレックスを克服してみましょう。
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