新iPad、押さえておきたい4つのポイント 安くなった旧機種が普及拡大の大きな武器に

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iPad Air 2における最大の特徴は薄さである。しかし、それ以上に"薄い"といえるのが、競合他社のタブレットビジネスから得られる利益幅である。アップル以外のメーカーは廉価版タブレットの過当競争を展開している。その中でアップルは、高級モデルのブランドと、タブレット市場の販売台数トップの座を両立している。

IDCの調査によると、2014年第2四半期、アップルは全体の出荷台数を前年比で9.9%減らしながらも、1330万台を出荷し、シェアは26.9%を維持している。新モデルが登場し、感謝祭とクリスマスのホリデーシーズンにかけて、その出荷台数が四半期で2000万台前後まで伸びるが、2014年はどうなるだろうか。

タブレットはスマートフォンと違い、1年ごと、あるいは2年に一度という買い換えサイクルが発生せず、PCと同じようなペースで購入されるデバイスだ。そのため毎年目に見えたアップデートを行う必然性が、スマートフォンと比較すると薄れてきているのは確かだ。

こうした環境の中で、ブランドと販売台数を維持することができれば、新iPad Air 2の役割は存分に果たしている、といえるだろう。

小幅なアップデートだったiPad mini 3

第2のポイントが、iPad miniは小幅なアップデートにとどめた、ということ。2013年に登場した「iPad mini Retinaディスプレイモデル」は「iPad mini 2」とリネームされ、その上で第3世代目のiPad miniと位置づけられた。iPad mini 2からの変更点はTouch IDの搭載とゴールドの新色追加のみだ。iPad mini 2を使っている筆者にとっては大きなショックといっても良い。プロセッサもカメラも向上しなかったからだ。

iPad mini 2は値下げされ、16GB版を299ドルから購入することができる。ゴールドが選べず、Touch IDが利用できないために100ドル安くなるなら、悪くない選択かもしれない。つまり、今現在、筆者はiPad mini 3への買い換えに、必要性を感じていないということだ。

第3のポイント(おそらくこれがもっとも重要)といえるのが、「Apple SIM」だ。米国のメディアで注目が集まったのは、超薄型のiPad Air 2でも、ほぼ変化しなかったiPad mini 3でもなく、両社のセルラーモデルに含まれると記載されていたApple SIMの存在だ。今回のiPadシリーズから採用された、アップル製のSIMカードで、1枚で複数の通信会社の回線を選択することができる仕組みを提供する。

現在のところ、米国では最大手の通信会社Verizon Wireless以外のAT&T、T-Mobile、Sprintがサポートする。また英国ではEEの回線を利用できるようになる。

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