新iPad、押さえておきたい4つのポイント 安くなった旧機種が普及拡大の大きな武器に

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エンタープライズにはIBMというパートナーがいる。今回のプレゼンテーションでも、IBMのロゴが登場し、Swiftでのアプリ開発が行われていることが言及された。価格を下げた旧モデルと、アップルが持つプラットホームやソリューションの組み合わせが、結果的にiPadを選ばせる魅力へとつながっている例といえる。

 今後のiPadのポジションは?

筆者は2014年のアップルについて、モバイル、特にiPhoneを核としたエコシステム作りに邁進していると見ている。iPadと同時に披露されたiOS 8.1とMac向けOS X Yosemiteは、通話やSMS、テザリングなどの通信機能、メール作成やiWorkでのドキュメント作成といった作業のシームレスな引継ぎ、iCloudを活用したデータの連携などを推し進めている。

もちろんiOS 8.1を搭載するiPadでもこれらの連携機能は利用できるが、四半期に5,000万台以上が出荷されるiPhoneを中心としてビジネスを組み立てることは大きなアドバンテージであり、ソフトウェアとクラウドの面でこの仕組みが出来上がってきた。

そうした中で、シュリンクが予測され、アップル自身も出荷台数を大きく伸ばせずにいるiPadは、今後どのようなポジションに置かれていくのか。

前述の通り、まだまだ市場拡大が見込める途上国市場を切り拓くのはiPad miniシリーズの役割となるかもしれない。ただ、途上国のニーズでは、ファブレットや小型タブレットでの「通話」も上位に上がっており、これをFaceTime AudioやサードパーティーのLINEなどでまかなえば良いのか、やはり電話回線が必要なのか、今後判断する必要がある。

そしてもう1つは、ソリューションとセットで使われていく市場での活躍だ。前述の通り、教育やエンタープライズ分野など、特別な使い方も実現できる汎用デバイスとしての活用は、成長が止まりつつある先進国市場における活路だ。

また、途上国でもiPadが小型タブレットのプレミアムブランドの地位を確固たるものにしていれば、先進国でノウハウが蓄積されたソリューションが途上国へと一気に流れ込み、新たなビジネスチャンスを生み出すことにつながるだろう。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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