確率と期待値「賢くお金を増やす」のは、どっち? あなたは大丈夫?「ギャンブル思考」からの脱却

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期待値を計算する前に、直感で、このような案件に投資しますか。つまり、投資したお金が10倍になる可能性が10%ある反面、投資したお金が3分の1弱にまで目減りする可能性が90%もある投資案件に手を出すかどうかを考えてみてください。

多くの人は手を出さないでしょう。確かに10倍になる魅力はあります。でも、その可能性は1割しかないのですから。しかも、3分の1弱に目減りする可能性が9割もあるので、恐らくそうなるだろうと思うのが普通ではないでしょうか。そして、そんな可能性の低いものに賭けること自体が、まさにギャンブルだと思うに違いありません。

でも、感覚的な判断を下す前に、期待値という数字を求めることを習慣にしましょう。

この期待値は、1000円(高値)×0.1(高値の確率)+30円(安値)×0.9(安値の確率)=127円です。つまり、現在の株価よりも高いのです。

期待値が1を超える株式に投資しよう

確かに、投資した元本が3分の1弱に目減りするリスクはありますが、そのリスクよりも元本が10倍になる可能性に賭ける価値が十分にあります。

株式投資の場合、期待値が1(投資額)を超える銘柄を選んで投資していけば、長い目で見てお金を増やすことができるのです。

もちろん、期待値を計算するための確率自体があくまでも推測した数字です。当然、人によって違ってきます。1万円の株価が1万5000円まで値上がりする確率を30%と考える人もいれば、50%と考える人もいるのです。

過去の株価の推移を判断基準にする人がいる一方で、業績や財務内容を総合的にチェックしたうえで、だいたいこのくらいではないかという数字を出す人もいるでしょう。

アプローチが異なれば、期待値も違うものになります。つまり株式投資の期待値には正解がないのです。ウォーレン・バフェットのような天才投資家でも失敗するように、確実ということはありません。

それなら期待値は使えないかと言えば、そんなことはありません。成功も失敗も含めて経験値を積めば、より精度が高まります。なぜそのように考えたのかを数字で説明する習慣を身につけることで、賢い投資家の道を進むことができます。そして、着実にお金が増えていくでしょう。

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