確率と期待値「賢くお金を増やす」のは、どっち? あなたは大丈夫?「ギャンブル思考」からの脱却
現実には、売上額より当選額が多くなるような胴元が損をするくじは存在しませんので、あくまでも期待値の感覚をつかむトレーニングとして考えてください。
公営ギャンブルの期待値
ギャンブルでは「還元率」という言葉が用いられるのですが、実質的には期待値と同じです。還元率とは、賭け金に対して賭けた人に戻される金額の割合のことです。還元率が80%だとしたら、賭け金の8割が戻ってくるという理屈になります。そして、残りの2割は胴元に入ります。
気が付いたでしょうか。期待値の問題で見たように、賭けた人が手にできる総額が、胴元の売上総額よりも低い時は、賭けた人が損をします。
日本で認められているギャンブルの還元率は公営競技(競馬、競輪、オートレース、競艇)が約75%、宝くじが約45%、サッカーくじが約50%、パチンコが約85%です。つまりギャンブルは、続ければ続けるほど負けるのです。しかも、宝くじは45%、サッカーくじは50%です。競馬や競輪、パチンコよりも低いのです。
もちろん一発逆転はあります。宝くじだって、買い始めて2、3回目で1等に当選するかもしれません。でも、何十年も買い続けているのに、一度も高額当選しない人がいるのも事実です。いや、むしろ大多数の人はそのはずです。
このように、冷静に期待値で判断すれば、ギャンブルがいかに割の合わないことをやっているのかがわかるというものです。
期待値の考え方がわかったところで、株式投資の投資判断で使うための練習をしてみましょう。
現在、A社の株価は100円です。この株価が1年後に300円になる可能性が10%、50円になる可能性が90%とします。A社の株式を買うべきでしょうか?
期待値を計算してみましょう。300円(高値)×0.1(高値の確率)+50円(安値)×0.9(安値の確率)=75円です。現在の株価100円よりも安いので、この投資をしても負ける確率が高いことを意味します。株価が75円を大きく下回らない限り、見送ったほうがいいでしょう。
では、次はどうでしょうか。
現在、B社の株価は100円です。この株価が1年後に1000円になる可能性が10%、30円になる可能性が90%とします。B社の株式を買うべきでしょうか?