「第6波でコロナ感染の私」が肌で感じた深刻実態 1月22日に陽性判明後、東京都の対応は二転三転

✎ 1〜 ✎ 218 ✎ 219 ✎ 220 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「どうなりましたか」

「(会社から)連絡が来ないんです。自分も待機しているんです」

電話を切った。5分後に電話が鳴った。ドライバーさんだ。

「キャンセルになりました」

「え? どういうことですか?」

「わかりません。この時間以降の搬送はありませんので、きょうはないということです」

同じ搬送車に乗る予定だったという、もう1人の陽性者もさぞかし驚いたことだろう。すると、30分後にまた電話があった。今度は別の男性だ。

「都です。手違いで連絡がいっていませんでした。申し込みがキャンセルになりましたので、明日以降、もう一度申し込みをお願いします」

キャンセル? どういう意味だろうか。

「また最後の順番で申し込めと言うのでしょうか」

「はい。きょうはもう窓口がやっていませんので」

宿泊療養申し込み窓口は午後4時までだ。今はもう午後7時。

「何が起きたのですか。保健所に問い合わせますので、電話番号を教えてください」

「お伝えしますが、保健所はもうこの時間は電話に出ません」

「すみませんが、咳がとまらないので、重症化リスクが高い家族にうつる前に私を隔離したいのです」

「検討します」

電話を切った後、激しく咳き込んだ。電話で話すと、咳がひどくなる傾向がある。念のため保健所に電話した。確かに誰も出ない。呼び出しコールは自動音声に切り替わってしまった。

ようやく保健所から初めての電話

午後8時50分、また私のスマホが鳴った。今度は女性だ。

「区の保健所です。都から、あなたが宿泊療養をキャンセルしたいとのことで話があったんですが」

初めての保健所からの電話だった。しかも、私が宿泊療養のキャンセルを申し出たことになっている。

「違います。逆です。早く入れてくださいと言っています」

「わかりました。都に確認します」

約40分後、午後9時半に再び保健所の女性職員から電話。

「明日から入れます。都から連絡が来ます」

しばらくすると、またスマホが鳴った。

「都です。明日から入所です。(迎えの)時間は明日の午前に伝えます。(入所は)午後からになります」

ホテル名を告げられた。ここまで確定すればたぶん大丈夫だろう。どっと疲れた。服はホテルの部屋で手洗いすることになるから、その準備も要る。のどを痛めている人は小さい加湿器を持って行ったほうがいいというネットの体験談も見た。荷造りを本格化させていると、また電話が鳴った。もう深夜の午後11時近い。

「遅くにすみません。都です。明日からの入所のお知らせです。行っていただく宿泊施設が決まりました。施設は……」

「あ、先ほど同じ内容のお電話をいただきました」

「そうなんですね。重複してすみません」

かなり混乱していることがわかった。1月25日のこの日、東京都内での新規感染者数は1万2813人に達し、過去最多を記録している。

翌1月26日の午前9時22分、見知らぬ番号から着信があった。男性が「これから食料を届けます。本日中に届きます」と言う。食料を届ける区のサービスだ。7日目になって、ようやく……。

正午ごろに届いたのは、カロリーメイトのゼリー、スープ、スポーツドリンクなど。ありがたかった。もし、のどが最悪だった初めの5日間にいただければ、さらに助かっただろうと思った。

届いた食料やトイレットペーパー(筆者撮影)
次ページ迎えにやってきた白いワゴン
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事