「第6波でコロナ感染の私」が肌で感じた深刻実態 1月22日に陽性判明後、東京都の対応は二転三転

✎ 1〜 ✎ 218 ✎ 219 ✎ 220 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

保健所からの連絡を待つ間、自分の部屋から出ないようにし、部屋にたらいを置いた。ここでうがい、歯磨きを行う。洗面所には行かない。部屋を出るのはトイレだけ。トイレに行く際は手指を消毒したうえでビニール手袋をし、マスクをし、短時間で戻った。洗濯物は家族と別にした。

家族は濃厚接触者で外に出られないため、買い物はネットしかない。生活費は高くつく。生活のことが心配になり、傷病手当金や保険で出るものはないかを調べた。このままだと、少なくとも10日の間は仕事を休むことになる。これは大きい。

寒気から5日目、陽性判定から3日目の1月24日。少し回復してきた。声が出て、体も動かせるようになってきた。東京都のホームページを見ていると、保健所から連絡を受ける前に、陽性者が自ら宿泊療養を申し込める電話窓口がある。早速、電話した。重症化リスクが高い家族がいることを告げ、早く自分を隔離してほしいと申し込むためである。

受付時間は9時から16時。話し中でなかなかつながらなかったが、5回目で男性の係員が出た。事情を訴えると、相手はこう言った。

「混みあっていますので、最短で明日、または明後日に保健所から連絡が来ると思います」

やっと気持ちが少し楽になった。保健所から連絡がようやく来るのだ。

搬送車のドライバーから唐突な連絡

1月25日。保健所から連絡はない。自室にこもっているため、テレビのニュースも見られず、スマホで情報を集めた。

そんな中、ネットで「東京都の自宅療養者3万人超! ホテル療養施設2000室も空いているのになぜ入れないのか」という記事に行き当たった。この日の午後2時にアップされたばかりだ。

それによると、自宅療養者は24日に過去最多の3万1963人、それとは別に「入院・療養等調整中」が2万9490人。一方で宿泊療養者向けに用意されたホテルでは2000室以上が空いているという。使用率の低さは1年以上も前から報道や議会で指摘されてきたが、まだ改善されていないのか。

すっかり暗くなった午後6時9分、スマホに着信があった。表示された番号に覚えはない。男性だった。

「ドライバーです。午後6時35分にお迎え予定です。今から20分後です」

陽性者を宿泊施設まで連れて行く搬送車の運転手だという。

私が聞いていた手順では、宿泊療養が決まった場合、前日夜に行先と迎えの時間を電話で知らされ、搬送車の到着直前にドライバーから電話があるはずだった。ドライバーから電話がいきなり来て、しかも20分後に来ますと言われても……。

「保健所から1回も電話をもらったことがなく、(この時間に迎えが来るとは)聞いてないんです。大丈夫でしょうか」

私はそう尋ねた。ドライバーさんによると、搬送車にはもう1人陽性者が同乗するが、その人も保健所から何も聞いておらず、搬送会社を通じて確認中だという。私は、急いで荷造りを始めた。行先はホテルなので着替えがあればなんとかなりそうだ。

ところが、今度は迎えの時刻を過ぎても、どこからも連絡がない。私はドライバーさんに電話してみた。

次ページドライバーはどう答えた?
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事