営業は最高の「クリエイティブの学校」である 齋藤太郎×佐渡島庸平のクリエイティブ対談2
齋藤:本当は営業とクリエイティブディレクターは一緒にものを作っていく立ち位置ですが、クリエイティブディレクターを目の前にして何も言えなくなってしまう営業はいっぱいいると思います。チームの中で勝手に自信喪失して「自分の役割はない」と思って領空侵犯しない人も多いでしょう。でも最前線でビジネスを見ている営業のほうが、物事を多角的に見えている部分がある。ただクリエイターに仕事を振るだけでなく、チームの中で役に立てることはいっぱいあるはずだと思いますね。
営業出身者の武器
佐渡島:同じクリエイティブディレクターでも、営業出身とクリエイティブ系職種出身では方向性が違うように感じています。やはりクリエイティブ畑出身者の多くは、CMやグラフィックのビジュアルといった、何らかの「コンテンツ」によって課題を解決しようとする。でも、例えば「会社を健全にする」「会社全体の動きをよくする」ためにできるアプローチは、コンテンツのほかにも、もっとたくさんありますよね。根本的な部分である、ビジネスモデル自体、あるいは財務や人事、営業などにテコ入れし、最終的に社内外とのコミュニケーションや広告も含めてアプローチをしていく。仕組み自体から考える、というか。そういうやり方は、齋藤さんみたいな営業畑出身の人が得意なんだろうなと思います。
齋藤:たしかに「大枠から考える」のは、得意かもしれません。
佐渡島:あと、齋藤さんは話を聞くのがうまいですよね。たくさん話すように見えて、実は人の話を聞いているなと思います。
齋藤:最近いろいろな企業のトップとやり取りをする中で、「聞くのは得意かも」と自分でも思うことがありました。本当に興味があるから、自然と聞いてしまうんですけどね。
佐渡島:齋藤さんは人に興味を持つのが上手なんだと思いますよ。