セレンディピティの「魔法」で道をひらく3秘訣 「なぜか運の良い人」が無意識にしている下準備
それは複数の出来事、観察したこと、断片的情報の間に、(意外な)価値のあるつながりを発見し、クリエイティブに融合させていく能力を指す。それまで無縁と思われていた2つのアイデアを結びつけることがヒントになることが多い。
セレンディピティで重要なのは、予想外の出会いや情報の価値を認識し、活用する能力だ。
1つひとつのステップは学習できるし、後押しすることもできる。セレンディピティ・マインドセット、すなわちこの強力な影響要因に気づき、つかみ、活用する能力は伸ばすことができる。
偶然の出会いというのは単発的な出来事であるのに対し、セレンディピティはプロセスだ。サプライズや偶然は重要な要素だが、あくまでも最初のステップに過ぎない。
それに続くステップが起きるかは、予想外の出来事を理解し、活用する能力にかかっている。他の人々には断絶としか見えないところに、つながりや橋を見出せるかどうかだ。それには洞察力(雑多なものを選別し、価値あるものを見つける能力)と粘り強さ(最後までやり遂げる力)が必要になる。
セレンディピティ・トリガーに気づかない、あるいはそれが何と結びつくかわからなければ、セレンディピティの機会は失われてしまう。起こり得たはずなのに、そうならなかった偶然はやまほどある。
人生を振り返って、セレンディピティが起こり得たのに、あなたが気づかなかった(あるいは気づいていたが行動しなかった)ために未遂に終わったケースを思い出してみよう。
最近、何か小さなきっかけがあれば行動できた場面で結局何もせず、後になって後悔したという経験はなかっただろうか。セレンディピティ・マインドセットを身につけるのが重要なのは、このためだ。
予想外に対処する能力を身につける
組織、人脈、物理的空間を見直すことなどによって、セレンディピティが生まれやすい状況を生み出すこともできる。セレンディピティ・マインドセットと適切な状況を組み合わせることで、セレンディピティの育つ「セレンディピティ・フィールド」は豊かになる。
私は研究者、コミュニティ活動家、起業家として活動するなかで、「こんなことが起こるなんて、すごい偶然だね!」という言葉をよく耳にする。だがその経緯を振り返って点と点をつないでみると、必ずしも偶然ではないことがわかる。
幸運な偶然に思われることの多くは、誰か、あるいは何かがその素地を整えていたために起きている。科学と運不運は奇妙な取り合わせに思えるが、セレンディピティは多くの科学的研究で中核的役割を果たしている。
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