日本の「反ワクチン運動」がどうも異質に見える訳 同じ世界観にのめり込む享楽こそが至上の価値

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1月23日に東京・渋谷で行われていた反ワクチンデモ(写真:Yusuke Harada/NurPhoto/共同通信)

1月23日に反ワクチンやノーマスクを訴えるデモが東京、大阪などの大都市圏を中心に全国各地で開催された。東京では前日の22日に新型コロナウイルスの感染者数が初めて1日あたり1万人を超え、過去最多になったことが報じられた直後。前々日にはまん延防止等重点措置が16都県に適用されたばかりで、オミクロン株の流行による急速な感染拡大が続く状況下であったが、行進した人々はマスクを付けずに「ワクチン反対」「日本の未来の子どもが殺されている」などと叫んだ。関係者によると、東京だけでも1000人程度が集まったとみられる。

このような反ワクチンデモは世界中で先鋭化している。フランスでは、1月8日、新型コロナウイルスのワクチン接種を義務化する政府法案に抗議するデモが各地で行われ、政府側の推計でおよそ10万人が参加。ドイツでも、現在の医療従事者らのみという接種義務の対象が広がる可能性が高まったことから、昨年末から特に一部の州で抗議デモがエスカレート。接種反対派による政治家の殺害計画が明るみになり、警察当局が武器を押収するなど、過激化が懸念される事態になっている。

日本のワクチン接種に法的拘束力はない

日本のデモと同日、EU本部のあるベルギーでは、ワクチンパスポートなどの規制に対する抗議デモが行われ、警察推計でおよそ5万人が参加。デモ隊の一部が暴徒化し、逮捕者も続出した。BBCによれば、昨年11月中旬以降、オーストリア、クロアチア、イタリア、デンマークでも、ワクチン接種の義務化や「グリーンパス」の要求をめぐって国民の間で不満が噴出しており、大規模な抗議デモが起こっているという(欧州各地で大規模デモ、新型ウイルスの規制強化に反発/2021年11月22日/BBC)。今回の日本のデモは、これらの動きに合わせた世界同時デモという側面もあるようだ。

しかし日本のワクチン接種の現状は、あくまで任意であり、予防接種法9条に明記されているとおり「努力義務」にすぎず法的拘束力はない。接種証明か陰性証明で行動制限を緩和する「ワクチン・検査パッケージ」も一時停止した。

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