ミミズの話 人類にとって重要な生きもの エイミィ・ステュワート著/今西康子訳 ~土を作る賢い生物は菜食主義者だった

ミミズの話 人類にとって重要な生きもの エイミィ・ステュワート著/今西康子訳 ~土を作る賢い生物は菜食主義者だった

評者 仲倉重郎 映画監督

 ミミズといえば、子どものころ庭の隅の湿地の小石を持ち上げて捕まえては、魚釣りの餌にしていた。しばらく付き合いはなかったが、最近、ベランダの植木鉢の中にいるのを見つけて驚いた。なぜこんな所に紛れ込んできたのかわからないが、昔から、ミミズがいる土地は肥沃だと聞かされてきた。

だが、ミミズは土をよくしてくれるという常識は間違いで、頼もしい益虫にもなれば恐ろしい害虫にもなる、その活動で地表性の鳥や動物がいなくなり森が消滅することもあるという。どうやらミミズは、一筋縄ではいかない賢い生物のようだ。

その祖先は、5億年も前のカンブリア紀の水生動物で、大陸移動以前からの生物であるという。カリフォルニアの種とオーストラリアの種は最も近い、カリブ海とフィジー島の種は近縁だといわれ、大陸移動の「生き証人」とされている。

ダーウィンの最後の研究はミミズであった。1881年『肥沃土の形成』を著し、全土を覆うすべての肥沃土は何度もミミズの消化管を通ったものであると述べて学界に衝撃を与えた。土を作るミミズのおかげで、古代遺跡はその土の下に隠されて保存されてきた。そして目もなく耳もないのに思考能力があるのではないかと、彼は考えた。

本書の著者は、コンポスト容器に数千匹のミミズを飼っている。その結果、食べる物には好みがあり、赤キャベツより緑キャベツが好き、オレンジの皮やたまねぎの皮には寄り付かない、ワサビが嫌い、脂身や乳製品には寄ってこない、など厳格な菜食主義者であることがわかったという。だがそれは知能ではなかろうといっている。

本書には「ミミズ」がいっぱい詰まっている。結局、「研究」とは“オタク”になることなのだとつくづく思わされる。

Amy Stewart
新聞・雑誌ライター。米テキサス生まれ。テキサス大学大学院で、地域計画とコミュニティの学士号および修士号を取得。ニューヨーク・タイムズはじめ、サンフランシスコ・クロニクル、サンセット、オーガニック・ガーデニングなどの新聞・雑誌に寄稿。

飛鳥新社 1785円 287ページ

  

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