武富士が会社更生法の申請へ? 過払利息返還請求の急増などで同業他社へ影響広がる可能性も
消費者金融大手の武富士が会社更生法の申請に向かう可能性が出てきた。
9月27日、会社側は「会社更生法申請の準備」という一部報道について、会社更生法の申請決定を行った事実はないというコメントを発表したものの、打ち消し方は決して強くはなかった。
武富士はこの間、資金繰りが厳しく、新規融資をほとんどストップし、既存貸付金の回収を優先させている。加えて、債務者などからの過払利息返還請求も高水準のままで、一部の利息返還を先送りする傾向も出ていた。
今回の会社更生法申請問題は、こうした資金繰りの悪化を背景にして浮上したものといえる。前述したように、27日時点で会社側は事実を否定したが、この間、武富士の経営陣が会社更生法の申請を検討していたことは間違いない。会社が検討しているのはいわゆる「DIP型」の会社更生法であり、これによれば、従来の経営陣がそのまま、経営することができる。
もっとも、最終的にDIP型の会社更生法が選択されるかどうかは微妙な部分もある。DIP型になるかどうかはともかく、会社更生法が適用されるとなれば、出資法金利をベースにしているローン資産はすべて利息制限法金利に引き直しとなる。そうなれば、ローン残高は大幅に縮小、利息収入が大きく減少する。
その状況に対応するには、従業員の大幅削減が不可避であり、後述するように、利息返還を得にくくなる過払利息請求権者、株主責任を問われる株主、リストラの対象となる従業員などの間に、経営陣の続投に対する強い反発が発生するケースも想定できる。
さらに言えば、武富士の資金繰りに厳しさが増していたことは事実としても、足元で会社更生法の申請に向かわなければならないほどに窮迫しているのか、という点には見極めが必要だ。