失恋や離婚をしても、人の性質や能力は大きくは変わらない。かい性がない人が急に頼りがいのある人に成長したりもしない。ただし、手痛い失敗を体験して、独特の形に歪んでいる自分自身の姿を初めて知る。無理に矯正するのではなく、むしろ歪みをなだめて活かす方向で生きていくべきだ。その道にふさわしいパートナーもきっと見つかる。
自分を知るには大勢の人の助けがいるのだと思う。かつて傷つけ合ってしまった異性ですら、そのうちのひとりなのだ。
「お酒が飲めない」以外は大満足!
京子さんの息子がむずかり始めた。そろそろ帰らねばならない。最後に、結婚生活の様子と「晩婚に後悔はないか」を聞いておこう。
「彼は世のダンナさんよりは家事をしてくれるほうだと思います。子どもが朝早く起きて私が起きられないときは、散歩に連れて行き、朝ご飯を作って洗い物や洗濯もしてくれる。子どもをお風呂に入れるのも彼。でも、授乳は私にしかできないし、基本的には24時間態勢で子どもの面倒を見なくちゃいけない。こうして自分の時間を取ることはなかなか難しいんですよ。お酒が飲めないのが何よりつらいです。あー、すんごく飲みたい!」
最後は大声だったので少し心配になったが、主体的に家事ができる陽一さんとの家庭生活は、全体としてうまくいっているようだ。京子さんは35歳での結婚が「自分としてはいいタイミングだった」と振り返る。
「20代では大人として未熟すぎたので、結婚しても相手の嫌なところばかり見てしまったと思います。余裕がないから八つ当たりをしたかもしれない。でも、30代後半にもなると、『欠点があるのはお互いさま。しょうがない』と思えてきませんか? すごく気になること以外は、『ま、いっか』と思えるようになりました。
たとえば、彼は脱ぎ散らした服をそのへんに放ったらかしにしてある。前だったら注意していただろうけど、今は『ま、いっか』の部類ですね。高齢出産に関しては、子どもが生まれてくるまでは不安でした。障害が出る確率が高まるらしいから。でも、健康に生まれてくれた後は、今のところ年齢的な大変さは感じていません。人混みの中を出掛けていくようなことは避けていますしね。将来、子どもの運動会で走らされたりするのだけは心配!」
結婚と出産を経て、明るさと美しさを増したように見える京子さん。育休が終わって職場復帰したら、居酒屋のハッピーアワーにでも飲みに誘おうと思う。
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