「本当に大好きな店で、週6で通っていました(笑)。人手が足りないときは会社に内緒でバイトをしたり。店長がオーナーともめて閉店しちゃったときは、すごく残念だったな」
お店と相思相愛の関係にある常連客は、会社におけるエース社員のように不思議な輝きを放つものだ。異性としても3割増しぐらいステキに映る。一方で、自分は上客のつもりで振る舞っていても、実は店員たちから疎んじられている人は、いつまで経っても人気者になれない。京子さんの場合は、バイトを頼まれるほど店長からも好かれていた。まさに最強の場を手に入れたのだ。
ピンとこなかった、政治家志望の元彼
ただし、現在の夫である陽一さん(仮名、41歳)と付き合い始めたのは出会ってから1年半後のことだ。その間、京子さんは別の男性と1年間ほど会っていた。
「以前に知り合った人で、2011年の春先に久しぶりに連絡が来たのです。震災需要というやつですね。でも、付き合ってみたらちょっとうさん臭い人だった。政治家を志しているのはいいけれど、『あの先生に頼んだら抽選なしで東京マラソンに出られるよ』なんて自慢してくる。
私は早く結婚して子どもが欲しかったのに、『日本の子どもに明るい将来はない。だから子どもは要らない』と言われました。だんだん嫌気が差してきて……。なんであの人と付き合っていたのか、今では不思議。あの立ち飲みバーへは連れて行きませんでした」
20代の頃は自分の仕事と生活を築くのに必死だったという京子さん。30歳を過ぎてから「早く子どもを産みたい」という気持ちが高まり、結婚相談所に登録していた時期もあった。
「何人かとは会ってみたし、何度かデートが続いた人もいました。でも、30代半ば過ぎても結婚できない男性は、忙しすぎたり不器用だったりすることが多いと思う。出張ばかりなのは仕方ないけれど、連絡が途絶えてしまったり……。私は1日1度は連絡を取り合いたい。メールすらないと『酔いつぶれてどこかで倒れているのかも』と心配になったり、私にあまり興味がないのかと不安になったりしちゃうから」
忙しすぎて女性をかまえなくなっている人とは長続きしない。でも、「仕事ができなさそう」な男性とも話が合わない。京子さん自身が育休を早く終えて職場復帰したいほど仕事に打ち込んでいるからだ。
「仕事の話をしているときに的外れな反応をされると、会話が続かなくなりますよね。どういう反応? えーと、2つ思い出した。
私が意思決定の遅い取引先との交渉で悩んでいて、『時間がかかってしょうがないのよ』と相談した人に、『その人は優しいんだよ。いろんな人の意見を聞いていて時間がかかっているんだよ』と返されたことがある。ハァ?と思いました。仕事の遅さと優しさは関係ないですよね。もうひとつは、『今日はこんなことがあってつらかったー』と飲みの席でぼやいたら、私の話はまったく聞かずに『オレなんかもっと大変だよ』と話し始められたこと。こういう人にアドバイスを求めても何にもならないだろうな、と思いました」
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