「Web3.0」の説明にピンとこない人が多い根本原因 結局のところ今までのネットと何がどう違うのか

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ブロックチェーンにより、これまで企業が担ってきたサービスの提供機能と、ストックオプションや株式市場が担ってきた利害調整とガバナンスの機能を、プログラムコードとトークンに置き換えることが可能になったこと。

この事実がWeb3.0を夢物語ではない新しいビジネストレンドたらしめている。

インターネットの民主化ではなく、資本市場の二層化

Web3.0について、「インターネットの民主化」という言葉を見かけることもあるが、これは事実との乖離が大きい。プラットフォーマーの存在を敵視しすぎているとも言える。

筆者は、Web3.0の実態は、民主化というよりもむしろ、資本市場の二層化であると考えている。

資本市場の基本的な投資体験は金銭的出資によって株式を購入し配当と株主総会への参加権を得る、というものだ。この機会を社会に提供するのが株式市場であり、証券取引所である。

これに対し、Web3.0の世界で提供されるのは、非金銭的な応援・貢献を通じて利害関係を得るためのトークンや、少額・小口の出資でガバナンスへの関与権を得るためのトークンだ。これらは既存の資本市場の裾野に参加ハードルの低いエリアを設けるものといえる。

例えば、特定の「コレクティブNFT」を購入したユーザーは、コミュニティー活動を通じてNFTの価値を高めることでキャピタルゲインを得ることが可能だ。これはベンチャーキャピタルがスタートアップのPRや採用を支援して企業価値を高めるアプローチに近い。

また、サービスの開発方針を問う「ガバナンストークン」を購入したユーザーは、サービスに関わる意思決定に関与することが可能になる。これは株式投資型クラウドファンディングに参加しユーザーヒアリングを受ける体験に似ている。

これらのトークンは配当の有無など有価証券該当性に関わる要件を回避して、既存の資本市場と一線を引いて発行される。しかし、より多くを有するもの・より多く貢献したもの・より先行して活動に参加したものが優位になるといった点で、資本市場の性質を色濃く受け継いでいることは否めない。

Web3.0の世界に「公平さ(Fairness)」はあっても、民主主義的な「平等(Equality)さ」は担保されていない点には留意が必要だ。

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