「Web3.0」の説明にピンとこない人が多い根本原因 結局のところ今までのネットと何がどう違うのか
Web3.0は、既存のインターネット世界における不満や疑念を解消し、中間マージンを削ぎ落とした魅力的なサービスを実現するアイデアだ。
Web2.0を生み出したクラウドプラットフォームであるAWSが発表される際、ジェフ・ベゾスが語った「Your margin is my opportunity(あなたの利益は私のチャンス)」という言葉のとおり、Web3.0はWeb2.0の世界で当たり前に存在する企業利益というマージンを機会に変えて急速に発展する可能性が高い。
また、海外ユニコーン企業株のようにキャピタルゲインの期待値が高い銘柄への投資機会を持たない一般層にとって、Web3.0の発展が魅力的な金融マーケットへのアクセス機会を広げるものにもなりえる。
より安く、より共感性の高いサービスに、より多くの資金を集めるファイナンスエンジンを備えたWeb3.0サービスの成長は、人々の想定を大きく上回る場合がある。
その実例として、最も成功したWeb3.0サービスと言われるビットコインは誕生から10年足らずの間に時価総額7500億ドルを突破している。現在これを上回る時価総額の日本株銘柄は存在していない。
しかし、これは同時に「サービス(またはそのコミュニティー)が成長するか否か」という丁半博打的なリスクマーケットへのエクスポージャー(投資機会)を一般向けに広げるという側面を持つ。
運営企業が不在だと何が起こるのか
運営企業が不在のサービスでは、重大な瑕疵や開発主体のプロジェクト放棄といったトラブルが容易に生じうる。過去にブームとなったICO(イニシャル・コイン・オファリング、新規暗号資産公開)の際には、運営企業がいたにもかかわらず、トークンによる資金調達を行った後に資金を持ち逃げするケースも多発した。
従来の世界で運営企業が得てきた利益とは、サービスに対して企業が引き受けてきたレスポンシビリティ(責任)の裏返しでもある。責任主体が不在となり、すべてがユーザーコミュニティーに委ねられたとき、そこで起こるあらゆる出来事は「ユーザー(であり投資家)の自己責任」になる。投資家保護を旨とする規制当局がこうした事態を看過するとは考えがたい。
Web3.0の世界が予想を上回る発展を遂げる前に、人々が少しでも多くの恩恵を享受できるよう、事業者、ユーザー、規制当局が真剣な議論を行う必要があろう。
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