日の丸大連合が描く「国産デジタル通貨」の正体 NTTやメガバンクなど70社超が一斉に集う意味

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――DCJPYの商用化実現に向けたロードマップは。

2022年度中にはDCJPYとその運用を支える一部プラットフォームの実用化を目指している。

フォーラムでは、10の分科会に分かれてユースケースの研究・実証を進めているが、特に商用化に向けた動きが早いのは「電力取引」と「NFT(非代替性トークン)」の分科会だ。いずれの分野もブロックチェーン技術の実装が進んでいたため、デジタル通貨のニーズが強くある。

――DCJPYの商用化によって、企業の新たなビジネス展開も視野に入ります。

電力取引分科会では、DCJPYのブロックチェーン技術を使い、再生可能エネルギーの利用率を可視化するビジネスを検討している。DCJPYに対応した電力取引市場で売買した企業の再エネ利用率を捉え、それを銀行などの金融機関に提供するモデルだ。これは2021年度中にPoC(概念実証)を終えて、商用化を急ぎたい。

一方、NFT分科会では2022年中にもDCJPYを使ったNFTのマーケットプレースの実証実験を実施する予定だ。

日銀や金融庁の大物OBが助言

――フォーラムの運営には、元金融庁長官などの大物も関わってきます。商用化に向けては省庁との制度のすり合わせなども重要になってきますね。

フォーラムの座長には元日銀決済機構局長の山岡浩巳氏、シニアアドバイザーには元金融庁長官の遠藤俊英氏に就任していただいた。フォーラムには、オブザーバーとして日銀や金融庁、財務省、経産省、総務省が参加しているので、省庁などの窓口はこの人たちでやっている。山岡氏や遠藤氏には、その知見からフォーラムに対してアドバイスをいただいている。

――DCJPYの最終的なビジョンをどう考えていますか。

社会インフラになることだ。(DCJPYを発行・管理する役割になる)銀行だけでも全国に100行ぐらいある。(フォーラムにすでに参加している)メガバンクなどの大きい銀行だけではなく、地方銀行とか信用金庫といった地場の金融機関にも提携先を広げていく。

全国の銀行に対して、「同じプラットフォームに乗ってください」というお願いをこれからしようとしているところだ。時間軸は今後20年ぐらいかかるかもしれないが、日本中の北から南まで、全国にくまなく行き届くことを目指したい。

高野 馨太 東洋経済 記者

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たかの けいた / Keita Takano

東京都羽村市生まれ。早稲田大学法学部卒。在学中に中国・上海の復旦大学に留学。日本経済新聞社を経て2021年に東洋経済新報社入社。担当業界は通信、ITなど。中国、農業、食品分野に関心。趣味は魚釣りと飲み歩き。

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