日の丸大連合が描く「国産デジタル通貨」の正体 NTTやメガバンクなど70社超が一斉に集う意味

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――DCJPYを導入すると、どんなメリットがあるのでしょうか。

企業側のメリットが特に分かりやすい。デジタル通貨の一番の意義は(2層構造の付加領域に)プログラムを書けることだ。通貨の取引・決済にプログラムができると、例えば取引と決済を自動化できる「スマートコントラクト」を実装できる。

すると、「月末締めの翌月払い」などで、今まで企業などの経理が手作業でやっていた業務を自動化できる。事務作業の正確性を高めたり、事務コストを下げられたりするなどのメリットが生まれる。そういった企業がサービスを作るようになれば、利用しているユーザーである個人にも恩恵が出てくるはずだ。

――DCJPYが企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)にも寄与すると?

そうだ。デジタル通貨フォーラムには、(2021年末時点で)74の企業・団体が参加してくれているが、いずれも自分たちのビジネスのデジタル化を進めるなら、通貨をデジタル化した方がいいと気が付いている。その考えがない企業・団体はここにはいない。

参加する企業・団体は1年で倍増

――2020年6月にフォーラムの前身となる「デジタル通貨勉強会」を立ち上げてから、参加企業・団体が増え続けています。

時田一広(ときた・かずひろ)/1995年インターネットイニシアティブ(IIJ)入社。同社専務執行役員などを経て、2018年にディーカレットを設立(写真:尾形文繁)

デジタル通貨勉強会は当時、メガバンク3行などとともに「日本におけるデジタル通貨の見通しをつけよう」と立ち上げた。

2020年11月にデジタル通貨フォーラムとなり、DCJPYのユースケースなどを1年余り研究してきたが、その間、参加企業・団体の数は2倍近くに膨らんだ。足元でも多くの企業・団体から問い合わせを新たにいただいている。

――フォーラムに参加した企業・団体のみにメリットが生まれ、囲い込みと見ることもできませんか?

まず、囲い込みはない。フォーラムへの無理な勧誘はしておらず、ほとんどの企業・団体は先方から問い合わせをいただいて参加してもらっている。排他的なことはこれまでしていないし、これからするつもりもない。

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