目の前の問題しか見えない人と先を読む人の大差 できる人は「影響の影響」まで考えている
この状況下で、クレオパトラは自分の選択の二次的な影響を考える必要がありました。短期的な利益、つまり弟との和解を選択すれば、宮殿には戻れるかもしれませんが、ゆくゆく処刑される危険があります。実際、彼女の親族の多くがすでに処刑されていました。
生き残りと王位の保持、そして将来も王位に留まり続けるためにクレオパトラが下した結論、それはシーザーと同盟を組むことでした。
彼女は、この決断がもたらす一次的な効果がどのようなものかを知っていたとされています。怒った弟は彼女を殺そうと陰謀を企てるし、ローマの干渉を望まないエジプトの民を怒らせると。
「今の満足」を見逃す勇気を持つ
クレオパトラは、この決断は短期的には痛みを伴うと予想し、実際その通りになります。内戦が始まり、彼女とシーザーは何カ月にもわたって包囲されることに。クレオパトラは弟による暗殺の企てに対しても常に警戒しなければなりません。
では、なぜ彼女はシーザーとの同盟を選んだのか? クレオパトラがその後何年にもわたってエジプトを治めていたことを考えると、彼女の決断は「効果の効果」まで見極めたものだったと推測されます。もしクレオパトラが当面の難局をなんとか乗り越えることができれば、シーザーやローマの支援を得たほうが、そうでない場合、つまりローマを敵に回す場合よりもエジプトのリーダーとして長期間成功する可能性がはるかに高いからです。
二次的な結果を意識してそれを意思決定の指針とすることで、長期的な成功の確率は高まります。今の時点で満足を得ようとしない。そうすれば、クレオパトラが自身の処刑を回避したように、目先の欲望のままに行動して起きた混乱に対処する必要もなくなる、というわけです。
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