目の前の問題しか見えない人と先を読む人の大差 できる人は「影響の影響」まで考えている
二次的思考の副産物として、「自分の主張に説得力が増す」効果もあります。
自分の考えや意見を主張する際、二次的な効果を考慮していることを示すことで、より説得力が強くなる。18世紀のイギリス世論を動かした二次的思考の例を見てみましょう。
18世紀末のイギリスでは、女性の権利はほとんど認められていませんでした。哲学者メアリ・ウルストンクラフトは、権利がないために女性の自立や生き方の選択が制限されている状況に不満を抱きます。
人は「先を読んだ主張」に納得しやすい
しかし、彼女は「なぜ女性が権利を得るべきか」を主張しませんでした。そうしたところで世間の共感と理解は得られない。「女性の権利獲得がもたらす価値」を示すべきだと考えたのです。
ウルストンクラフトは、その権利によって実現する社会的な利益を説きます。女性が教育を受けることで、自立したよい妻、よりよい母となり、賢くてお行儀のいい子どもを育てられる、それが社会公益のプラスになると主張したのです。
ウルストンクラフトにとって、女性の力や可能性を引き出すのは女性に権利はあると認めることの一次的な効果でした。しかし、そう主張するだけでは男性主義の世界は動きません。それが社会にもたらす作用、つまり二次的な効果についての議論を展開することで世論を動かし、ウルストンクラフトは現在のフェミニズムの先駆者となったのです。
意思決定の際にそこから生まれる結果を先読みして考えることで、将来問題が起きる可能性を下げられることを歴史は示しています。
何かの問題に直面したら、自分が持っている情報をもとに先の先の結果まで検討する。異なるさまざまな可能性を検討することこそが、「考える」ということといえます。私たちは、自分自身に向かって「その先はどうなるだろう?」と問いかけるのが大事なのではないでしょうか。
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