中国政府は、なぜLINEをブロックしたのか 情報統制の影に見え隠れするもうひとつの思惑

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

まず、意外と知られていないことだが、VPN(Virtual Private Network)や衛星放送を使えば、実際には禁止情報にも簡単にアクセスできてしまう。

中国にいる日本人の多くは、VPNを使って、上記のようなネットサービスを使っている。筆者はネット技術については明るくないので、詳細な説明はご容赦願いたいが、中国当局の監視をくぐり抜け、別のところを経由して、禁止サイトにつなげることができるサービスは中国にも溢れている。そして情報感度の高い、海外留学経験があるような中国人たちは、このVPNを使って禁止サイトにアクセスしている。

例えば、フェイスブック。ぜひ、“楊”“張”“陳”といった中国人の名前を検索していただきたい。おびただしい数の人が出て来たと思う。もちろん海外に住む中国人が多いが、居住地を見ると、中国国内のいろんな都市からアクセスしている中国人もいることが分かる。書いている内容は、何を食べたとか、どこに行ったとか、特に政治的な話ではないが、少なくともアクセスしている人は多い。

ちなみに、フェイスブックには、“習近平”“李克強”という人もそれぞれ10人くらいいて、頻繁に近況を投稿している(もちろん、ニセモノ)。蛇足だが、これは読んでいると、けっこう笑える内容だ。こうした、ある意味ではふざけた書き込みを、中国政府は見逃しているということだ。

香港のデモは中国でも報じられている

また、衛星放送サービスを使って、台湾や香港のニュースを見ている中国人も多い。中国人がよく使う言葉に、「上有政策、下有対策(上に政策有れば、下に対 策有り)」というのがある。政府がやったことには、対抗策をとるのが中国人。ネットアクセスを規制したところで、情報統制には穴があいており、まったくザ ルの状態なのだ。

さらに、日本でも大きく報じられている香港の「雨傘革命」デモ。「中国本土では報じられていない」といった報道が日本ではあるようだが、それは間違いだ。こうした敏感な話題も、実はしっかり報道されている。内容に偏りがあるとはいえ、CCTV(中国中央電視台)で、デモの様子はしっかり報道していた。

次ページどうしてLINEをブロックしたのだろうか
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事