維新と次世代、うわべだけだった円満離婚

参院ポストを巡って暗闘、猪木議員は消沈

「正確にいえば、維新の党が拉致特のポストを我々から直接奪ったわけではありません。実は日本維新の会の時に持っていた拉致特のポストも、自民党から譲られたものだったのです」

かつて元三塚派の自民党議員だった中野氏は、丁寧に説明してくれた。「もともと特別委員会のポストは参院事務局から割当られるもので、当初我々のところに来たのが政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会、政府開発援助等に関する特別委員会、消費者問題に関する特別委員会、東日本大震災復興特別委員会、そして原子力問題特別委員会の5つでした」。

維新、門外漢の藤巻健史氏を拉致特委に

ところが参院の次世代の党は、メンバーが4名(江口克彦氏、中山恭子氏、アントニオ猪木氏、中野正志氏)しかいない。そのため、委員会ポストの調整の結果、いくつかのポストを返上しなければならかった。そこで倫理・選挙と消費者問題を手放した。「しかし中山さんがどうしても拉致特がほしいということで、自民党と話しあって原子力と交換したのです」。その結果として、中山氏は拉致特の委員に残ることができた。

次世代の党は、自民党とのポスト交換により、拉致特の委員ポストを得た。その一方で維新の党は日本維新の会のポストを引き継ぐ形で、拉致特枠を1つ獲得している。そのため奪ったようにみえるわけだ。

かつて同じ政党にいた同志ならば、他のポストとの交換を申し出てしかるべきものだ。そもそも維新の党には、拉致問題の専門家がいないのだ。だがそうした「思いやり」を見せることはなかった。維新の党は新たな拉致特委員に、拉致問題に全く門外漢の藤巻健史氏を充てている。

もっとも次世代の党からも、維新の党に対して拉致特のポストを求めることはなかった。その背景に、2つの党の間に常任委員会のポストを巡る熾烈な戦いがあった。中野氏が続ける。「我々は仲良く分離したと思っていた。だから日本維新の会が持っていた2つの予算委員のポストを分けあおうと申し出た。ところが維新の党はこれを拒否した。『お前たちは出ていったんだから、その権利はない』というのが言い分だった」。

日本維新の会からは維新の党へ6名、次世代の党へ3名が合流している。つまり維新の党は次世代の党の2倍。維新の党の姿勢は、数を頼みにした横暴だった。

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