小泉元総理秘書官が明かす 人生「裏ワザ」手帖 飯島勲著 ~垣間見られるひとかどの人物の生き方

小泉元総理秘書官が明かす 人生「裏ワザ」手帖 飯島勲著 ~垣間見られるひとかどの人物の生き方

評者 黒木 亮 作家

 永田町では「カラスは白いと思うのだが、君は何色だと思う」とボスの議員から問われたら、「はい、私も白いと思います」では物足りなく、敏腕秘書なら「カラスは真っ白です」と断言するのが正しいという。しかし著者にいわせると、この答えとて甘く、何が何でも白いカラスを見つけ出し、「先生の言うとおりだった」と世論に訴えてこそプロの仕事である。

本書は、「トップのスキャンダルにどう手を打つか」「わが子を出世させる三大テク」「検察・警察との闘い方」「一人暮らしの娘の交友関係を知る方法」といった項目について、著者が指南する形式になっている。さすがは35年間にわたって小泉純一郎元総理の秘書として、陳情者から持ち込まれる無理難題をさばいてきた人物だけあって、目のつけどころの細やかさに感心させられる。たとえば、「よい医者の選び方」では、マスコミに頻繁に登場する医者は実力に疑問符が付き、病院でスタッフの動きを観察し、カルテのコピーをもらい、それをもとに処置件数のいちばん多い医者を探すべきであるとする。

ノウハウ部分もさることながら、読み物として飽きさせない。冒頭の白いカラスのエピソードのとおり、随所に著者のプロとしての気概が滲み出ている。政治家秘書として頂点に立った、いわば「ひとかどの人物」が、日々どのような気持ちで、何を考えながら仕事をし、生きてきたのかを垣間見られることは、大いに勉強になる。

後半の3分の1は、政治の問題に紙数が割かれ、日本で短期政権が続く理由や民主党のマニフェストの問題が説得力ある論理で分析されている。

読者サービスなのか、天皇陛下や総理大臣が乗る政府専用機の様子を図解付きで解説してあり、これはなかなか楽しい。

いいじま・いさお
松本歯科大学特任教授、駒沢女子大学客員教授。1945年長野県辰野町生まれ。72年小泉純一郎衆議院議員秘書。竹下内閣、宇野内閣で厚生大臣秘書官。宮澤内閣で郵政大臣秘書官、橋本内閣で厚生大臣秘書官。小泉内閣で首席総理秘書官。

プレジデント社 1575円 197ページ

  

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