見えない価値「非財務資本」こそが生死を分ける 日本企業がGAFAMの足元にも及ばない真の理由

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業績が改善しても株価が上がらない日本企業。アップルやグーグルとの差は何か(デザイン:池田梢)

「ウチの株価、どうしてこんなに低いんでしょうか。足元の業績も悪くないし、成長もしている。自己株買いだってやっているのに」――。ある東証1部上場企業のCFO(最高財務責任者)は、業績の良さとは裏腹に低迷する株価をみてうなだれる。

コロナ禍の大規模な金融緩和もあって、日本企業の株価はバブル期以降の低迷期を脱したようにみえる。しかし、足元では日経平均株価が3万円に届かないまま行ったり来たり。半導体や自動車のメーカーを中心に企業の業績は良くなっているのに、なぜか株価が思ったほど上がらない。

一方、株価が上昇し続けているのがアメリカの市場だ。GAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック(現メタ)、アマゾン、マイクロソフト)など、巨大IT企業の株価が牽引し右肩上がりが続く。コロナショックからの回復期を経て、S&P500などアメリカ市場の代表的な株価指数はまだまだ最高値を更新し続けている。

アメリカ株の上昇を「バブルだ」と片付けてしまうのは簡単だ。しかし、日本株が低迷してきた過去30年間でも、アメリカ株は中長期で見て上昇基調を維持している。日米の企業価値の差は歴然である。

過去の業績では株価は動かない

1月17日(月)発売の『週刊東洋経済』1月22日号(1月17日発売)では「企業価値の新常識」を特集。「非財務資本」を巡る、企業の混乱と対処法について、まとめている。

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企業会計の専門家たちは、近年、時価総額が財務諸表に載っている業績データで説明できなくなってきていると指摘する。財務諸表に載っていない、見えない価値を説明するために出てきたのが、「非財務資本」という概念だ。

産業の中心が製造業だった時代には、工場の生産能力から将来生み出される製品の量が予測でき、そこから未来の企業業績を比較的簡単に計算できた。まさに財務諸表全盛期だ。

しかし、現在では産業の中心がITを活用したサービス産業に移行している。とくにネット系のビジネスではユーザーの数や顧客満足度が将来の稼ぎに大きく影響するが、こうした情報は財務諸表にはほとんど載っていない。

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