バンコクの「玄関駅」、廃止のはずが列車発着の謎 フアランポーン駅「お別れイベント」も開いたが

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バンコクでは2021年11月29日、我が国の円借款も一部活用するかたちで、近郊電車のSRTレッドライン(ダークレッドライン26.3km・ライトレッドライン15km)が開業した。フアランポーン駅の廃止は、このレッドライン開業が大きく関係している。

レッドラインを走る日本製車両(写真:Andre Malerba/Bloomberg)

従来、バンコクにおける鉄道整備は、既存のSRTとは別規格、かつ異なる運営組織で、都市鉄道に特化した地下鉄(MRT)、高架鉄道(BTS)が整備されてきた。スワンナプーム国際空港アクセスのエアポートレールリンクは在来線の用地上に建設されたことから、運行はSRTの電車運行部門であるSRTETが行っているが、軌間も異なり、在来線とは接続していない独立した路線になっている。

在来線の改良で運行開始

しかし、今回のレッドラインプロジェクトは、厳密に言えば在来線の改良である。

これまで、SRTは長距離輸送が本分であり、いわゆる「普通列車」は首都バンコクでさえも日にわずかな本数しか設定されておらず、都市鉄道としてはほぼ機能していなかった。そこで、通勤需要の見込めるSRT北本線および南本線の近郊区間を電化、高架化し、電車の高頻度運転を開始した(電車の運行はSRTETが実施)。それがレッドラインの正体である。

よって、ディーゼル機関車牽引の客車や気動車で運行される長距離列車もレッドラインを経由することになる。特に北本線側のダークレッドラインは、各駅停車の電車が外側線を、長距離列車が内側線を走る複々線となっている。内側線も電化されており、将来的には急行電車も設定される予定だ。

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