バンコクの「玄関駅」、廃止のはずが列車発着の謎 フアランポーン駅「お別れイベント」も開いたが

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コロナ禍前のフアランポーン駅。どこか懐かしく、汽車旅に出ることを実感させてくれる風情が人気だった(筆者撮影)
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タイ国鉄(SRT)の始発駅であるバンコク・フアランポーン駅。郷愁誘う汽車旅の出発地として最高のロケーションと言っても過言でない同駅は、東南アジア好きやバックパッカーの方なら、一度は訪れたことがあるだろう。

そのフアランポーン駅の廃止と新駅への機能移転に伴う「お別れ」を記念したメモリアルイベント、「Hua Lamphong in Your Eyes」が2021年12月22日から駅構内で開かれた。駅の歴史を紹介するパネルやSLの展示のほか、駅構内や鉄道資料室など10カ所のポイントを巡ると記念カードや景品がもらえるスタンプラリー方式のイベントが実施された。

引き続きコロナウイルス感染が拡大している中ではあるが、週末などはバンコク市民などで大いに賑わったようである。日本でも、最後にもう一度訪れたいと思っていた人も多いのではないかと思うが、残念なことに2021年12月21日からタイへの隔離なし入国が停止となり、短期滞在観光客のタイ旅行はまた一歩遠ざかってしまった。

しかし、あきらめるのはまだ早いかもしれない。

にぎわいの中心から外れた駅

フアランポーン駅は、古くから華僑が住むエリアの一角にある。駅の西側、チャオプラヤ川までの間には、中華レストランや輸入小物を扱う卸問屋や商店などが集まっており、漢字表記の看板が連なっている。一方で、都市の発展からはやや取り残されている。

ステンドグラスが美しいフアランポーン駅(写真:Tharinee Jidtudkanon)

だからこそ、どこか下町情緒が漂い、観光客に人気のエリアになっているわけだが、市街地の拡大とともに現在のバンコクのにぎわいの中心は、より東側、北側(チャオプラヤ川から見てより内陸側)に移っている。

発展目覚ましい東南アジアの国々では、古くからある鉄道駅が都市の発展から取り残されていく例は多く、重厚巨大なターミナルがターミナル駅としての役目を終え、長距離列車の発着がなくなったり、あるいは再開発とともに駅そのものが消えたりすることもある。バンコクのフアランポーン駅もその例に漏れず、駅としての役割を終える――いや、正しくは終えるはずだった。

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