5代目と6代目の相違点、ステップワゴン新旧比較 ユーザーの声を大切に原点回帰した新型の狙い

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新型では、一般的な跳ね上げ式のテールゲートを採用(撮影:尾形文繁)

だが、これもホンダによれば、この方式は「使いづらそう」といったユーザーの声が多く、不評だったという。筆者は、個人的にはとても便利そうな機能だと思っていたのだが、実際のユーザーにはコンサバな開口方式のほうがよかったようだ。

そこで、新型に採用されたのが電動で自動開閉する「パワーゲート」だ。ゲートを開く角度は無段階で調整が可能で、メモリ機能付きのため停止位置を事前に設定することも可能。車両後方が狭くゲートが全開きできない場合は開口幅を小さく設定できるなど、駐車場所などに応じた幅広い対応ができる機能を持つ。

軽ワゴンやコンパクトミニバンなどもライバル

新型ステップワゴンは、価格も未発表だ。ファミリー向けミニバンにとって、価格もユーザーが購入を決める際の重要なファクターとなるが、この点については公式発表を待つしかない。ちなみに、先代モデルの価格帯(税込み)は271万4800円~409万4200円。新型は、この価格帯より上になる可能性も十分にある。

価格といえば、近年の子育て世代には、軽自動車でも室内が広い軽スーパーハイトワゴンや、コンパクトカーのミニバンを選ぶ層も多い。ミドルサイズのミニバンよりも価格が安いわりに、使い勝手もいいからだ。実際に、ホンダ車でも、軽スーパーハイトワゴン「N-BOX」は、今や「ホンダで一番売れているクルマ」ともいえる売れ筋モデルだ。また、同じくホンダの「フリード」やトヨタの「シエンタ」といったコンパクト系ミニバンも売り上げは好調だ。

これらモデルは、例えば、N-BOXの価格帯(税込み)は144万8700円~225万2800円。フリードでは199万7600円~327万8000円だ。ステップワゴンは、先代モデルの最も安いグレードで比較しても、これらより約70万円~100万円以上高い。しかも、実際に、2021年1~12月の販売台数でみても、フリードが6万9577台(「日本自動車販売協会連合会」調べ)、N-BOXは18万8940台(「全国軽自動車協会連合会」調べ)と、圧倒的に先代ステップワゴンよりも売れている。そう考えると、新型は、トヨタのノア&ヴォクシーや日産のセレナといったライバル車もさることながら、身内にも敵がいることが十分考えられる。自社ブランドのより安価なモデルに対し、プラス100万円近い価値をどうユーザーに訴求するのか。

新型が成功するためのファーストステップは、まさにそこにあるのかもしれない。また、ノア&ヴォクシーについては、2022年1月13日に新型が発表された。同ジャンルで現在もっとも売れていて、まさに王者ともいえる2モデルの新型に対し、新生ステップワゴンがどう立ち向かっていくのかも気になるところだ。

平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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