投資家が参考にすべき「12%の法則」とは何か 相場はついに「大天井」を打ってしまったのか

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金融当局の政策金利引き上げについても、同じことがいえる。景気の上昇とともに金利が上がるのは当然で、これはまったく問題ないと考えるべきだ。

重要なことは、企業の利益率や景気を圧迫する水準まで上昇するかどうかだ。その水準まで上昇したとき、大天井の要因になると考える。それが何%なのかは企業の利益率との見合いになるので、現時点では特定できない。だが、10年債利回りの上昇だけで過度な下げがあれば、買いチャンスとなる。

まとめると、「企業が価格転嫁できないほどのインフレ率」と「企業利益を圧迫する金利水準」が大天井の条件ということになる。

需給と人気はどうなっているのか

さて、ここまでは企業業績に関しての「ファンダメンタルズ(基礎的条件)的アプローチ」といえるものだが、相場にはその対をなす「需給・人気的アプローチ」も必要だ。

株価の3要素は「業績」「需給」「人気」といわれる。そこで現在の需給と人気を考察してみよう。

マネタリーベース(日本銀行が直接的に供給するお金)は、2021年11月末残高が過去最高の約660兆円となったあと、12月は670兆円と記録を更新している。

一方、マネーストックM3(企業、個人などの通貨保有主体の持つ通貨量)の月中平均残高も同11月現在で約1527兆4000億円と、過去最高を記録している(12月分は1月13日に発表)。

モノの値段を決めるのは「お金の量とモノの量のバランス」であることは経済の原則である。これを日本の株式に当てはめると、モノ(株)の量は、岸田政権が今後規制をかける(実際にはありえないはずだ)とまでいわれる高水準の自己株買いおよび消却分は、IPO(新規株式公開)の時価総額を上回っている。

つまり、お金が増えて、モノは減っている。こうした状況で株が天井を打つことはないと考える。大天井はこのバランスが崩れるときだ。

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