オバマ人気はなぜ地に堕ちたのか
そうした成功にもかかわらず、オバマ大統領の支持率はギャラップ調査で42%にまで下落している。こうした傾向に対してジョー・バイデン副大統領は決然として「民主党は11月中間選挙で、上院も下院も多数派を維持すると確信している」と檄を飛ばしている。しかし、超党派のほとんどの世論調査によると、共和党が下院で過半数を占めることは確実であり、場合によっては上院も共和党支配に転じる可能性があるとみられている。
最近の失業率は9.5%と依然として高止まりしている。しかし、数百万人という人が職探しを取りやめていると言われている。それにしてはこの9.5%という数字はかなり高い。現在の雇用情勢は表面の数字以上に厳しいのではないか。そういう悲観的なムードの中で、これまでオバマ政権が取り組んできた緊急支援に伴う財政出動によってもたらされた隠れたプラス評価よりも、大規模な財政出動に伴う将来の深刻な財政赤字に対する不安のほうが広がりつつある。
最近、行政予算局長を辞任したピーター・オルスザグ氏は辞任に際して、緊急措置によってあからさまな大恐慌による崩壊の危機は免れたが、「いま直面している危機はどうにも受け入れがたい弱々しい経済成長といつまでも続く高失業だ」と述べている。選挙民はそのことに憤慨しているのである。
住宅不況が景気回復の足を引っ張る
この夏は景気の悪い指標が重なった。失業支援の問い合わせは増え続けており、住宅販売は7月に27%も下落した。これは1968年に統計を取り始めてから最大の落ち込みだ。この失業増大と住宅不振の2つは別問題ではない。2年前に金融・経済危機が始まった時、住宅ローンの利子負担の膨張を伴うサブプライムローン問題は、ローン返済不能に伴う差し押さえの原因であり、現在、その原因は失業の増大にシフトしている。つまり、職を失った労働者は住宅ローン返済もできない。
住宅ローン返済不能に伴う差し押さえは記録的な水準に上っている。7月現在、住宅ローン物件の7戸に1戸は返済が遅れているか差し押さえになっている。この住宅市況の不振は消費支出の足を引っ張り、景気回復を難しくしている。最近のモルガン・スタンレーの報告ではこの住宅市況の“もたついた調整”は引き続き景気回復を遅らせるという。